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共通のアイデンティティの活性化 ~人は、自分と類似性のある人に親切にする~

「共通のアイデンティティの活性化」とは?

 共通のアイデンティティの活性化とは、

誰かとアイデンティティ(同一性、帰属意識)を共有すると、その相手に親切にする現象

をいいます。

 たとえば、関わり合いをもつ他人が、

  • 同じ業界で働く人
  • 同じ学校卒業の人
  • 同じスポーツをやっていた人
  • 同じ趣味をもつ人

というだけで、親近感が湧き、友好的な行動をとりやすくなります。

 『相手と仲良くなるには、まずは共通点を見つけること』とよく言われますが、これは、「共通のアイデンティティの活性化」の効果を引き出すことを狙った行為です。

 実際に、人は、自分と似たような精神性、雰囲気、趣向などを持つもつ人と仲良くなります。

「共通のアイデンティティの活性化」に関する実験

 「共通のアイデンティティの活性化」は、着ている服でも起こることが実験から確認できます。

 サッカーチームのマンチェスター・ユナイテッドのファンを集めます。

 集めたマンチェスターのファンの前で、

  • 普通のTシャツを着たジョギング中の人
  • マンチェスターのTシャツを着たジョギング中の人

をわざと転ばせます。

 そして、集めたマンチェスターのファンが、転倒したジョギング中の人を助けるかどうかを観察します。

 結果、普通のTシャツの人を助けたのは、集めたファンのうち33%でした。

 マンチェスターのTシャツの人を助けたのは、集めたファンのうち92%でした。

 つまり、人は、同じサッカーチームのファンであるなど、自分との同一性を確認できるか否かで、親切心と行動に大きな差が出るということです。

まとめ

 みなさんも経験から分かるとおり、人は、自分と類似性や同一性がある人を好むという性質をもっています。

 自分と類似性や同一性がある人に対して、親近感を感じ、友好的になり、心を開き、親切にするようになります。

 この現象を「共通のアイデンティティの活性化」といいますので、この概念を意識して使えるようになると有用です。

 ちなみに、「共通のアイデンティティの活性化」は、イェール大学の心理学者ジャック・ドビディオが提唱した概念です。

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