学習

人は、長時間の穏やかな幸せより、短時間の激しい喜びを求める

人は、長時間の穏やかな幸せより、短時間の激しい喜びを選ぶ

 人は、長時間の穏やかな幸せよりも、短時間の激しい喜びを好ましいと思うバイアスをもっています。

 不倫がよい例です。

 長時間の穏やかな幸せ(家庭)よりも、短時間の激しい喜び(不倫相手)に魅力的を感じてしまうのです。

 このように、人は、長時間にわたる穏やかな幸せよりも、短時間の激しい喜びの方を選択したくなるのです。

長時間の穏やかな幸せよりも、短時間の激しい喜びの方を選択する理由

 長時間の穏やかな幸せよりも、短時間の激しい喜びを好ましいとする選好が形成される理由は、「ピークエンドの法則」と「持続時間の無視」という思考メカニズムと、脳内物質「ドーパミン」にあります。

ピークエンドの法則

 ピークエンドの法則とは、感情が動く瞬間(感情が高まる瞬間)を記憶として保存する思考メカニズムをいいます。

 人生の記憶とは、感情が高まった瞬間の記憶の詰め合わせです。

 それゆえに、思い出しやすい記憶も、感情が高まった瞬間の記憶になります。

 長時間の穏やかな記憶の方は、思い出しにくいです。

 このような記憶のメカニズムから、人は強い刺激がある方に選好が傾くのです。

持続時間の無視

 人は、時間の経過を記憶するのが苦手です。

 人が記憶するのは、感情が高まった瞬間の断片的な記憶です(ピークエンドの法則)。

 そのため、人は、‶ 時間の長さ ″ に価値の重きを置くことが、なかなかできません。

 人は、長時間の穏やかな快楽より、瞬間的に高まる強い快感に選好が傾くのです。

※ ちなみに、「ピークエンドの法則」と「持続時間の無視」は、『「ピークエンド法則」「持続時間の無視」とは? ~評価は代表的な出来事で決まる~』で詳しく書いています。

脳内物質「ドーパミン」

 ドーパミンとは、脳内から分泌される快楽物質です。

 ドーパミンは、

  • 目標を達成したとき
  • 価値のあるものを手に入れたとき
  • 優越感を感じたとき
  • 他人をいじめているとき

など、日常生活の様々な場面で脳内から分泌され、人に快感を与えます。

 ドーパミンは、覚せい剤を使用するときに分泌される脳内物質であることからも想像できるとおり、依存性・中毒性が極めて高い脳内物質なので、人はドーパミンの分泌を欲するのです。

 長時間の穏やかな幸せに対して、ドーパミンはあまり分泌されません。

 しかし、短時間の激しい喜びに対しては、ドーパミンが多く分泌されます。

 よって、人は、脳内物質の観点からも、長時間の穏やかな幸せよりも、短時間の激しい喜びの方を欲するのです。

まとめ

 人は、合理的な意思決定がきちんとできず、感情反応や、思考の癖に基づいた意思決定をしてしまいがちです。

 つまり、人間の認知は歪んでいるのです。

 したがって、冷静に考えれば、長時間の穏やかな幸せを大切にできる方が、長期的には、幸福な人生を歩めることを頭では理解できても、つい短期的な刺激の強い喜びを求めてしまうのです。

 短期的な刺激の強い喜びを求めてしまうのは、人間が生まれもった性質なので、仕方のないことだと思います。

 だとしても、せめて、そのことに自覚的であるべきだと思うのです。