刑法(わいせつ物頒布等罪)

わいせつ物頒布等の罪(9)~「本罪の故意」を説明

 前回の記事の続きです。

本罪の故意

 わいせつ物頒布等の罪(刑法175条)は故意犯です(故意についての詳しい説明は前の記事参照)。

 なので、本罪が成立するためには、本罪を犯す故意が必要です。

 本罪における故意の内容について判示したのが以下の判例です。

最高裁判決(昭和32年3月13日)

 裁判所は、

  • 犯意の成立については問題となる記載の存在の認識とこれを頒布販売することの認識があれば足り、かかる記載のある文書が175条所定のわいせつ性を具備するかどうかの認識まで必要としているものではない

と判示しました。

東京高裁判決(昭和33年3月31日)

 裁判所は、

  • 当該文書の内容たる記載を認識し、かつこれを販売することの認識があれば足り、右文書の内容たる記載のわいせつに関する価値判断についての認識を必要としない

と判示しました。

大審院判決(昭和12年2月10日)

 裁判所は、本罪の故意を認めるに当たり、

  • 営利の目的を要しない

としました。

東京高裁判決(昭和48年8月29日)

 裁判所は、本罪の故意は、

としました。

次の記事へ

わいせつ物頒布等の罪の記事一覧