刑法(特別公務員職権濫用罪)

特別公務員職権濫用罪(1)~「特別公務員職権濫用罪とは?」「保護法益」を説明

 これから6回にわたり、特別公務員職権濫用罪(刑法194条)を説明します。

特別公務員職権濫用罪とは?

 特別公務員職権濫用罪は、刑法194条において、

裁判、検察若しくは警察の職務を行う者又はこれらの職務を補助する者がその職権を濫用して、人を逮捕し、又は監禁したときは、6月以上10年以下の拘禁刑に処する

と規定されます。

 特別公務員職権濫用罪は、主として刑事司法に関係する公務員について、これらの者は、職務上、人を拘束する権限が認められていることから、これが濫用された場合に問題が大きいので、これらの公務員が職権を濫用して不当に逮捕・監禁することを通常の逮捕・監禁罪刑法220条)より重い法定刑で処罰することとしたものです。

保護法益

 特別公務員職権濫用罪の保護法益は、

第一次的には、公務員の行う職務の公正に対する社会の信頼

であり、

二次的には、公務員の職権濫用行為によってその相手方である個人の自由、権利

です。

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