刑法(不動産侵奪罪)

不動産侵奪罪(8)~「不動産侵奪罪の幇助犯」「罪数の考え方」を説明

 前回の記事の続きです。

不動産侵奪罪の幇助犯

 不動産侵奪罪の幇助犯の成立を認めた以下の裁判例があります。

大阪地裁判決(昭和44年4月8日)

 地主の黙認を得て家庭菜園を営んでいた者が、地主からほかの土地の買主を探すように依頼されていたことから、第三者より礼金をとって資材置場に使わせることを承諾したところ、相手が鉄骨二階建住宅兼修理工場を建てたのに、地主に連絡しなかったことにつき、間接正犯共謀共同正犯ではなく幇助犯であるとし、不動産侵奪幇助罪が成立するとしました。

罪数の考え方

 何筆かの土地、山林と宅地、土地と建物といった別々の不動産を同時に侵奪した場合について、それらの不動産の占有者が同一であれば、不動産侵奪罪は一罪となり、1個の不動産侵奪罪が成立すると解されています。

 もし、それらの不動産の占有者が異なる場合には、各占有者の人数分の不動産侵奪罪が成立し、侵奪行為が一個の行為である限り、成立した複数の不動産侵奪罪は観念的競合の関係になるので、1個の不動産侵奪罪が成立するという考え方になります。

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