刑法(脅迫罪)

脅迫罪(16) ~「害悪の告知の内容が条件きの加害でも脅迫罪が成立する」を判例で解説~

害悪の告知の内容が条件きの加害でも脅迫罪が成立する

 脅迫罪(刑法222条)の成立を認めるに当たり、害悪の告知の内容が条件付きの加害の場合でも、脅迫罪は成立します。

 害悪の告知に際し、害悪の発生に一定の条件を付することは、通常ありうることです。

 害悪の告知が条件付きであることを理由として、脅迫罪が成立しないということにはなりません。

 参考となる判例として、次のものがあります。

大審院判決(大正11年4月25日)

 この判例は、害悪の告知が条件付きであり、かつ、条件が未成就の場合でも脅迫罪の成立を認めました。

 被告人が「僧侶の勤務をなすときは、闇討ち山の如くするぞ。生命は覚悟せよ」との葉書を郵送した事案で、裁判官は、

  • 害悪の告知は条件付きであるが、元来、告知する害悪の到来を条件付きとすることは、脅迫罪の場合において、しばしば見るところの状態であって、その条件が未確定であっても脅迫罪を構成する

と判示しました。

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