前回の記事の続きです。
① 住居侵入罪との関係
住居に侵入し、住居内で逮捕監禁の行為に及んだ場合、住居侵入罪(刑法130条)と逮捕監禁罪(刑法220条)とは手段と結果の関係にあるとして牽連犯の関係に立つか否かについては、最高裁判所の判例は見当たりません。
下級審判例では、住居侵入罪と逮捕監禁罪の関係について
とに分かれています。
住居侵入罪との間に牽連犯関係が認められている罪として、強姦罪、殺人罪、傷害罪、暴行罪、威力業務妨害罪が挙げられますが、これらの罪に比べ、逮捕監禁罪は手段と結果の関係が希薄であるとはいえないので、これらの罪との均衡上からも牽連犯関係を肯定してよいと解されます。
② 公務執行妨害罪との関係
公務執行中の公務員に対して、その公務の執行を妨害する意図で、公務執行中の公務員を逮捕・監禁した場合は、公務執行妨害罪(刑法95条1項)と逮捕監禁罪とが成立し、両者の関係は観念的競合となります。