前回の記事の続きです。
2条1項6号の「汚物、動物の死体その他の著しく不快又は嫌悪の情を催させるような物を送付し、又はその知り得る状態に置くこと」とは?
ストーカー規制法2条1項6号は、ストーカー行為として、
- 汚物、動物の死体その他の著しく不快又は嫌悪の情を催させるような物を送付し、又はその知り得る状態に置くこと
と規定します。
例えば、
- ごみや糞尿を被害者宅に送付したり、被害者宅の周辺に散布する行為
- ゴキブリの玩具を被害者宅に送付する行為
- 動物の死体の写真を被害者のスマートフォンに送信する行為
- 被害者宅の前に使用済みコンドームを置く行為
- 被害者の所有物に精液をかける行為
が該当します。
「著しく不快又は嫌悪の情を催させるような物」とは?
「著しく不快又は嫌悪の情を催させるような物」とは、
- ひどく快くないと感じさせ、又は不愉快に感じさせるような物
をいい、
- 社会通念上、客観的にそのように評価できる物であること
が必要であると解されています。
ここでいう「物」には、
- 文書
- 図画
- 電磁的記録
- 電磁的記録に係る記録媒体
も含まれると解されています。
「その知り得る状態に置く」とは?
2条1項6号の「その知り得る状態に置く」は、
2条1項2号の「その行動を監視していると思わせるような事項を告げ、又はその知り得る状態に置くこと」の「その知り得る状態に置く」と同じ意味
です。
「その知り得る状態に置く」とは、
- 直接相手方(被害者、被害者の密接関係者)に伝達するものではないものの、相手方が日常生活において了知し得る範囲内に到達させること
をいいます。
行為の相手方が知り得た状態に置いたと認定するためには、
- 行為が相手方に対して行われたものであること
かつ
- 相手方が了知し得る状態であったこと
が必要になります。