人は、ネガティブな感情を抱くと、確率にそぐわない重い捉え方をする
人は、めったにない結果を、どうしても無視することができず、過大な重みづけをしてしまうことがあります。
たとえば、仕事において、1年間のうちに、部下が不祥事を起こして、会社から監督責任を問われる確率が2%、何の不祥事もなく無事に1年間を終えられる確率が98%だったとします。
上司は、監督責任を問われるかもしれない たった2%の確率に対して、過大な重みづけをし、どうしてもこだわってしまいます。
人は、稀な事態がありうるかもしれないとネガティブな感情を抱いたら、確率の比して、はるかに重い捉え方をしてしまうのです。
そして、無視できるリスクを無視できなくなってしまいます。
リスクはゼロでないと安心を得られない
人は、危険に気づくと不安になります。
その危険に対し、どの程度対処するかは、不安の感情反応の強さで決まります。
たとえ、危険が起こる確率が わずか2%であったとしても、どの程度、念入りに対処するかは、危険の発生確率ではなく、不安の感情反応の強さで決まるのです。
危険の発生確率が2%だから、不安などのネガティブな感情反応の強さの程度も2%で収まるとはならないのです。
感情は、確率を無視するのです。
人は、不安などのネガティブな要素や出来事に対しては、危険の発生確率をもって、合理的に危険の度合いを測ることができません。
不安などのネガティブな要素や出来事に対しては、理屈ではなく、感情が優先した反応をするからです。
人が抱く、不安などのネガティブな感情の度合いは、危険の発生確率の度合いと一致しないのです。
一度、不安などのネガティブな感情に支配されると、ネガティブな感情をなくすためには、リスクの軽減や緩和では効果がなくなります。
危険の発生確率ゼロにする必要が出てくるのです。
もはや、危険の可能性があるということだけが問題になります。
だから、危険が起こる確率がわずか2%だっとしても、無視できないのです。
危険の発生確率を0%にしないと、心の平穏を手に入れることができないため、わずか2%の確率に過剰にこだわってしまうのです。