他人のミスは見つけて当然
他人のミスや至らぬところを見つけるのは、自分のミスや至らぬところを見つけるより、はるかに簡単です。
理由は、横から見ている第三者は、認知的に多忙ではなく、脳のリソースに余裕があることから、情報を受け入れる余地が、当事者よりも大きいためです。
よって、当事者が気づくことができないミスや至らぬところに、第三者である他人が気づけるのは当然なのです。
よくドヤ顔で、他人のミスや落ち度を批判・指摘し、さも自分が有能であるかのような立ち振る舞いをする人がいますが、他人のミスや落ち度は指摘できて当然なのです。
なぜならば、批判・指摘する側は、当事者のように、脳のリソースを消費するクリエイティブな活動をしておらず、脳のリソースに余裕があるからです。
批判者の知性
上記のとおり、他人を批判するのは簡単なのです。
そして、他人を批判するのは簡単であることを利用して、自分を有能に見せようとする人たちがいます。
実は、他人を批判する人は、頭が良く見えるのです。
このことは、研究でも証明されています。
他人を批判することで、自分を有能に見せることができる心理作用を「批判者の知性」といいます。
「批判者の知性」は、政治家、評論家、ナルシスト、職場のズル賢い人たちが良く使う手法です。
特に自分は何か行動したり、成果をあげているわけではないが、行動している他人の落ち度を見つけ、それを批判することで、自分を有能な人間であると周囲に印象づけることをやってのけます。
(単純に、他人を批判することが癖になっている人や、他人を非難することが気持ち良いからやっているという人もいます)
「批判者の知性」を使っている人が近くにいたら、警戒が必要です。
批判者の知性を使って、自分の優位性を印象づけようとするズル賢い人間のことを、「他人を的確に批判できる頭の良い人だ」などと、ほめたたえてはいけません。
批判者の知性を使う人をほめたたえてしまったら、図に乗って、さらに他者批判が激しくなり、環境が地獄になります。
批判者の知性を使って、他人をおとしめて、自分を有能に見せようとする人間はクズです。
エラー防止に関しては、組織は、個人より優れている
第三者は、他人のミスに気づけて当然です。
そのため、第三者によるチェック機能がある組織は、エラー防止に関して、非常に優れた性能を発揮します。
たとえば、会社組織では、部下があげてきた仕事を、先輩や上司がチェックします。
部下は、クリエイティブな活動に脳のリソースを消費しているので、エラーを起こしやすいです。
しかし、部下のあげてきた仕事をチェックする先輩や上司は、クリエイティブな活動に脳のリソースを使っていない分、エラーに気づくことができます。
このように、組織は、チェック機能を有することができるので、エラー防止に関して有能さを発揮できるのです。
また、組織は、規律をもって手続を行うことを強制できるので、エラー防止措置も取りやすいです。
エラー防止に関しては、組織は、個人よりも優れているのです。
上司は部下のエラーに気づけて当然
よく部下のミスを見つけて、「何でこんなつまらないミスをするんだ!」と叩いてくる上司がいます。
そんなときは、心の中では、
「あなたは、脳のリソースを使ってなくて、思考領域に余裕があるんだから、ミスに気づけて当然だろ」
と思っておき、たんたんと対処していくのが良いと思います。
逆に、部下の仕事をチェックする立場にあれば、部下のミスに気づいたときに、
「自分は脳のリソースに余裕があるのだから、ミスに気づけて当然。怒ってはいけない。」
と心にゆとりある対応ができるのが良いです。