学習

アドバイス・シーキング ~アドバイスを求めて他人を味方につける~

アドバイス・シーキングとは?

 アドバイス・シーキングとは、

人にアドバイスを求めることで、交渉を有利に進めるテクニック

です。

 アドバイスを求めることは、相手に対し、「私は、あなたが知識や経験が豊富な人で、信頼や敬意をもっている」ということを暗に示す行為です。

 相手は、自分に信頼や敬意をもってくれている人からアドバイスを求められると、優越感を感じ、気分が良くなります。

 それにより、相手の交渉に応じやすくなるという心理効果がうまれます。

 人は、アドバイスを求められ、それに答えるのが好きです。

 誰かにアドバイスをすると、自分が偉くなり、人の役に立てたような気になるので、気持ちが良くなるのです。

【注意】アドバイス・シーキングには発動条件がある

 アドバイス・シーキングの効果が発動するのは、アドバイスを求める行為が無意識から出た場合に限ります。

 相手をコントロールするために、意図的にアドバイスを求めた空気が伝わってしまうと、アドバイス・シーキングの効果は発動しません。

 下心でアドバイスを求めたことを感づかれたり、相手に信頼や敬意をもっていないことを見破られると、相手は、あなたを、

  • 私を都合よく利用しようとする詐欺師
  • 時間泥棒

といった不快な人物して認定するでしょう。

 アドバイス・シーキングを意図的にやる場合は、信頼や敬意をもってアドバイスを求めていることを相手に思わせる演技が必要になります。

アドバイス・シーキングに関する研究

 アドバイス・シーキングは、自分に権威がなくても、人に影響を及ぼすことができる効果的な方法であることが研究で分かっています。

研究者ケイティ・リルジェンクィストの実験

 研究者ケイティは、被験者を売り手グループと買い手グループに分け、不動産の販売を想定して交渉させました。

 売り手が、最高価格で売ることを目標にして交渉した場合、合意まで達したのは、買い手グループのわずか8%でした。

 ところが、売り手が、買い手に、価格の折り合いをつけるにはどうしたらいいかアドバイスを求めた場合、買い手グループの42%が合意に達しました。

 この実験により、アドバイスを求めることは、

  • 相手との協力関係を作り出す
  • 相手との情報共有をうながす

ことができ、もめがちな交渉を、双方が得する取引に変える効果を生むことが分かりました。

 研究者ケイティは、人にアドバイスを求めることには4つのメリットがあると言います。

 それは、

  1. 情報の獲得
  2. 自分の身になってもらえること
  3. 相手との関わり合いが強められること
  4. ゴマすり

です。

 人は、自分の時間、エネルギー、知識、情報を使って相手を助けると、相手に成功してほしいと願うようになります。

 アドバスを求めることは、誰かを自分にかかわらせ、自分の協力者側に引き込むための優れた手法なのです。

まとめ

 アドバイスを求めることは、「あなたの方が私より知識があります」ということを認めて、明らかにする行為です。

 アドバイスを求められ、自分の優位性を感じた相手は、悪い気は起こしません。

 うまくアドバイスを求めることができれば、相手を自分側に組み入れることができ、協力してもらえたり、知識を得ることもできます。

 ただし、アドバイスをもらったにもかかわらず、アドバイスと違うことをやったり、アドバイスを勝手にアレンジしたりすと、相手から、

  • せっかくアドバイスしたのに話を聞いてない
  • 人に対する敬意と尊敬がない

と思われますので、バレないように立ち回る必要があります。

仕事でも役立つ

 調査により、知識がある同僚にアドバイスや助けを求める社員は、まったく求めない社員よりも、上司の受けがいいことが分かっています。

 上司からすれば、知識のある人から助言を受け、知識を得ながら仕事をする社員は安心できるのでしょう。

 アドバイスを求めることは、仕事の知識を増やす上、上司の自分に対する印象も良くするなど、仕事でも役立つ技術なので、活用する価値ありです。