統計的基準率と因果的基準率という概念について書きます。
統計的基準率とは?因果的基準率とは?
以下は、統計的基準率と因果的基準率を理解するための例文です。
例文
① 市内を走るタクシーの85%は緑色タクシーで、15%が青色タクシーです。
② ある日の夜に、タクシーがひき逃げをしました。
③ 目撃者は、タクシーの色は青色だったと証言しています。
④ 目撃者が夜に青色タクシーと緑色タクシーを正しく見分ける確率は80%でした。
統計的基準率とは?
①の文書にあるパーセンテージが、統計的基準率です。
統計的基準率とは、固有の条件をつけない、巣のままのグループがもつ確率です。
因果的基準率とは?
④の文書にあるパーセンテージが、因果的基準率です。
因果的基準率とは、固有の事情に基づく確率です。
統計的基準率は無視される
統計的基準率は、因果的基準率があるときは、無視されます。
統計的基準率と因果的基準率の関係を考える上で、この点がおもしいところです。
タクシーのひき逃げの例文に当てはめて説明します。
市内を走る85%は緑色タクシーで、15%が青色タクシーです。
なので、統計的基準率としては、ひき逃げをしたタクシーは、85%の確率で緑色タクシーになります。
青色タクシーがひき逃げをしたと証言する目撃者が、夜に青色タクシーと緑色タクシーを正しく見分ける確率は80%です。
なので、因果的基準率としては、ひき逃げをしたのは、80%の確率で青色タクシーになります。
この場合、因果的基準率(目撃者がいたことにで生まれた固有の事情に基づく確率=ひき逃げをしたのは、80%の確率で青色タクシー)が、事実を認定するために用いられる確率になります。
つまり、因果的基準率が採用され、統計的基準率が無視されるということです。
統計的基準率と因果的基準率の特徴
統計的基準率の特徴
因果的基準率が存在すると、無視されます。
無視まではいかずとも、過小評価はされます。
因果的基準率の特徴
そのケース固有の情報として扱われ、人の判断に強い影響を与えます。
因果的基準率が、人の判断に強い影響を与える理由
人間の脳は、因果関係が認知できる物事に対し、心地よさを感じ、正しさがあるという認知をします。
人は、生まれつき、因果関係を見るようにできているため、因果関係が分かるシナリオが大好きなのです。
(詳しくは、【心理学】因果関係 ~「因果関係づけ」ができる事は ‶ 正しい ″ ~で説明しています)
よって、人は、因果関係が形成されるシナリオの扱いを好み、かつ、得意とするため、因果的関係率が人の判断に強い影響を与えるのです。
逆に、人は、統計的な推論に弱いため、因果的関係率がある場合は、因果的関係率の方から答えを出そうとするので、統計的関係率をスルーします。
仕事においては、因果的関係率を使うべき
会議、プレゼンテーションなど、仕事においては、因果的関係率を意識的に使っていくことが有効になります。
人は、因果的関係率を好んで使い、意思決定をするからです。
議論の相手が、統計的関係率を持ち出してきたら、因果的関係率でつぶしてやりましょう。