脳は、相対評価でしか価値を感じることができない
人間の脳は、刺激の絶対量には敏感ではありませんが、違いや変化といった刺激の相対量にはすさまじく敏感です。
この脳の性質により、人は、比べないと価値を感じることができないようになっています。
例えば、一人で黙々と練習してゴルフを極めたとします。
その実力は世界一になりました。
しかし、一人では、ゴルフの実力が世界一であることを感じることができません。
人間の脳は、比較をしない絶対評価では、価値を感じることができないからです。
人間の脳は、ほかと比較する相対評価を行うことで、はじめて価値を認識できるようになります。
実力、報酬、人気など、他人と比較できるようになったときに、自分のゴルフの実力世界一の価値を感じることができるようになります。
横並びの比較
人は、横並びの比較をしたときに、おそろしく違いや変化に敏感になります。
横並びは、比較しているものの違いを強力に浮き彫りにします。
家電屋で、さまざまなメーカーのテレビが横並びに陳列されているのは、客に違いを認識できるようにさせるためです。
客は、違いを認識してしまうと、どんなものであろうと違いに注目してしまいます。
違いを認識させられることで、客は横並びのテレビに注目します。
もし1種類のテレビだけを陳列したら、たとえそのテレビが高性能かつ安価で、誰もが欲しがる商品だったとしても、絶対評価ができず、相対評価しかできない客は、そのテレビの価値に気づくことができません。
横並びの比較は、意図的に人の比較本能を引き出し、操作するための手段になっています。
比較は人を不幸にする
相対評価で価値を感じる脳の基本設定は、人を不幸にします。
いじめ
分かりやすい例がいじめです。
学校においては、周囲の大多数と違うというだけで、いじめの候補にされます。
学校は、建物にたくさんの生徒が強制収容されるため、横並びの比較が必ず起こる環境にあります。
人は、違いに恐ろしく敏感なので、
- ほかの子より太っている
- みんなが持っている物を持っていない
など、劣等的要素をもつ子どもは、周囲の子どもたちにすぐに違いを発見され、いじめのターゲットにされてしまいます。
仕事
相対評価が基本設定となっているせいで、仕事においては、自分の評価を他人との比較で考えてしまいます。
そのため、自分の待遇、役職、給料などを、いちいち他人と比べてしまい、一喜一憂して精神を消耗します。
他人と比較し、他人より優越的でありたいという衝動を抑えきれずに
- 他人に対してマウントをとる発言や態度をとって人間関係を悪くする
- 自分の役職や給料をあげることが仕事の目的になり、仕事の本質を見失う
などの弊害行動をとってしまう人もいます。
隣の芝は青く見え続けるため、他人より優越的でありたいという欲求が満たされることはありません。
自分の価値を他人との比較で感じる衝動を乗り越えられないうちは、
- 自己満足と絶望
- 精神の消耗と回復
を繰り返すことなります。
まさにラットレースです。
まとめ
人間の脳は、
ほかと比較することで、はじめて価値を認識できるようになる
設定になっていることを忘れないようにしましょう(相対評価設定です)。
相対評価設定を利用すれば、意図的に相手に比較をさせて、自分の思うように相手を操作することもできたります。
例えば、人の前で、相手を批判したり、ダメな部分を指摘すれば、相対的に自分の価値を高めることができる場合があります。
政治家がよくやるやつです。
政治家は、自分に都合が良くなるような比較を、意図的に相手にさせているのです。
人間が相対評価で価値を認識するというルールは、あらゆる場面で猛威をふるっており、そのことに気づけることが重要です。
人間の相対評価設定に殺される側になるのではなく、利用する側になることが大切です。