刑法(横領罪)

横領罪(19) ~「他人のために、その他人が提供した担保で借り入れた金銭を領得した場合、横領罪が成立する」を判例で解説~

他人のために、その他人が提供した担保で借り入れた金銭を領得した場合、横領罪が成立する

 他人のために、その他人が提供した担保で借り入れた金銭を領得した場合は、横領罪が成立します。

 この点について、以下の判例があります。

大阪高裁判決(昭和25年6月10日)

 他人からその所有物を担保にしての借金を依頼され、その担保物を用いて別途に自己名義で借入れをした場合であっても、その借り入れた金銭は委託事務の処理上受け取ったものであるから依頼者の所有となり、これを領得した以上は横領罪が成立するとしました。

名古屋高裁金沢支部判決(昭和29年10月19日)

 受託者が属する組合からは、組合員でなければ融資を受けられないことから、受託者名義による借入れを依頼されていた事案で、委託者から預かった物品を担保として組合から借り入れた金員を着服したことが横領となるとしました。

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