人は、
自分の気持が整理できない
他人の行動が理解できない
ことで、日々、現状を受け入れられず、戸惑い、悩みながら生きています。
なぜ、現状を受け入れられず、戸惑い、悩み、メンタルが安定しないかというと、人間の行動原理を理解していないからです。
その行動原理とは、
人間には、『脳の本能領域の活動で行動しているとき』と、『脳の知性領域の活動で行動しているとき』の2パターンがある
ということです。
人間は、本能に突き動かされて動いているときと、知性を発動して動いているときでは、全く行動原理が違います。
なので、自分または他人が、本能で動いているのか、それとも知性で動いているのかを観察して区別し、理解せずに生活していると、
- 自分のことも、他人のことも理解できない
- 自分の気持が整理できない
- 他人の行動が理解できない
という事態に陥りやすくなり、現状を受け入れられず、戸惑ったり、思い悩んだりすることが多くなります。
そこで、自分または他人が、
脳の本能領域の活動で行動しているのか
それとも、
脳の知性領域の活動で行動しているのか
をその都度、区別して理解する必要があるのです。
脳の三層構造
本能と知性を理解するための前提知識として、脳の構造について説明します。
脳は、人間脳・爬虫類脳・哺乳類脳の3層で構成されています。
1層目は、爬虫類脳です。
爬虫類脳は、脳の一層目にある最も原始的な脳の部位であり、食べたい、寝たいなどの生きるための本能がプログラムされた脳の部位です。
2層目は、哺乳類脳です。
哺乳類脳は、脳の二層目にある爬虫類脳の次に生まれた脳の部位で、快感、喜び、不安、恐怖などの情動をつかさどる脳です。
3層目は、人間脳です。
人間脳は、三層目にあり、動物の中で人間だげが持つ脳の部位で、知能・記憶・言語をつかさどり、理論的、合理的、未来的な思考を可能にする脳の部位です。
このことから、
- 人間の本能は、爬虫類脳と哺乳類脳の活動で生み出される
- 人間の知性は、人間脳の活動で生み出される
ことが分かります。
つまり、人間は、脳の動きとして、
- 本能に基づいて行動するときとは、脳の爬虫類脳と哺乳類脳の活動に突き動かされているときである
- 知性に基づいて行動するときとは、脳の人間脳の活動に突き動かされているときである
ということが分かります。
脳の本能領域の活動について
誰しも日常生活において、
- 上司、夫・妻、友人などが怒り出して戸惑う
- 嫌なことを思い出して辛くなる
- 良からぬことが起こりそうな気がして恐怖する
などの状況に陥ることがあると思います。
これは、脳の本能領域(爬虫類脳・哺乳類脳)の活動から生じる感情反応です。
脳の本能領域に基づく活動は、意識によるコントロールは不可です。
寝たい、食べたい、セックスしたいという欲求をなくすことができないように、本能に基づく行動は、人間の体にあらかじめプログラムされている機能なので、自分自身の意志力ではコントロールできないのです。
怒り、恐怖などのネガティブな感情や記憶も、基本的にはコントロールできず、自分の意思とは無関係に自動製造・自動再生されます。
脳の知性領域の活動について
脳の知性領域の活動は、知性をつかさどる人間脳から生み出されます。
理論的な考え方、自制心といった人間的で知的な活動は、特に、人間脳の前頭葉という部位の働きで生み出されます。
人間は、この前頭葉が機能するおかけで、感情を抑えたり、自制心を発揮するなどして、人間的で知的な活動ができるのです。
脳の知性領域に基づく活動は、意識によるコントロールが可能です。
- 何が良くて、何が悪いか
- どうすべきで、どうすべきではないか
といった判断を、自分の意識の下で選択し、行動を作り上げ、状況をコントロールしにいくことができます。
本能と知能のどちらに基づく活動かを把握することで、自分自身のメンタルが安定する
冒頭で、人は、
『脳の本能領域の活動で行動しているとき』と、『脳の知性領域の活動で行動しているとき』の2パターンがある
という話をしました。
今回、私が言いたいことは、
- 自分の気持が整理できずに苦悩する
- 他人の言動に一喜一憂する
- 他人を受け入れることができない
といったメンタルが安定しない事態が生じるのは、自分や他人が、
- 脳の本能領域の活動で行動しているのか
- 脳の知性領域の活動で行動しているのか
を区別して理解していないことが一因としてあげられるということです。
たとえば、目の前の人が怒り出したときに、何も考えなければ、ただただ慌てふためいてしまったり、相手の怒りに感応して不快な気持ちになり、自分自身も怒り出すなどしてしまいます。
ここで、目の前の人の怒りを見たときに、一度冷静になり、目の前の人が
- 脳の本能領域の活動で行動しているのか
- 脳の知性領域の活動で行動しているのか
を考察し、区別し、把握しましょう。
この例の場合は、目の前の人には怒りの感情が沸き起こっているので、目の前の人は「脳の本能領域の活動で行動している」ことが理解できます。
脳の本能領域の活動は、コントロール不可の活動です。
目の前の人は、現在、脳の知性領域に基づく活動ができておらず、コントロール不可の本能的な活動をしていることが把握できます。
ここまで客観的に人間のどういう行動原理で何が起こっているのかの状況分析ができると、納得感を持って、ひとまず状況を受け入れることができます。
それにより、自分自身のメンタルが安定します。
メンタルが安定するのは、状況を客観的に理解・把握することで、自分自身は、脳の本能領域の活動を排除し、脳の知的領域の活動で行動できるようになるからです。