正当化バイアス
私たち人間は、自分を正当化せずにはいられません。
自分に非があるとされた時に生じる苦痛は耐えがたいものだからです。
ゆえに、人には非難をかわしたいという願望が心にしみつています。
そのため、私たちは自分が他人から非難されたとき、意識的にせよ無意識的にせよ言い逃れをようとしてしまうのです。
非難をかわし、自分のせいではなかったと自分を納得させようとする思考システムを「正当化バイアス」といいます。
正当化バイアスは、全自動の思考システムなのでコントロール不能です。
自分が非難されることがあれば、正当化バイアスは反射的に動き出します。
正当化の方法
正当化バイアスによる正当化の方法は2通りあります。
一つは、
人のせいにする
です。
例えば「仕事で失敗したのは、部下が無能だったせいだ」と思考するパターンです。
この「人のせいにする」という正当化の方法は、目撃しない日がないくらい多く人たちがやっています。
もう一つは、
状況のせいにする
です。
「仕事で失敗したのは、寝不足だったせいだ」と思考するパターンです。
人のせいにできないときに奥の手としてやる正当化の方法です。
誰しも良くないことが起こったときには、非難の矛先が自分以外に向くように躍起になります。
非難の矛先を「他人」か「状況」に向けることができれば、自分が非難される苦痛から解放されます。
自己の呵責に耐えるという苦行を行わずにすみます。
ほとんどの人が他責思考
ほとんどの人が自責ではなく他責で生きています。
問題が起こったときに、「自分の責任だ」と考える人は少なく、「あいつのせいだ」と考える人の方が圧倒的に多いのが現実です。
人間には正当化バイアスがそなわっているので、これは仕方のない結果です。
正当化バイアスにより、あたなの周囲にいる人たちは、自己を正当化するために責任の所在を自分以外の人、つまり「あなた」に向けようとします。
人間に正当化バイアスがそなわっている以上、責任のなすりつけ合いが行われる世の中になってしまうのです。
まとめ
人は、自分に非があるとされると耐えがたい苦痛を感じます。
その苦痛を回避するために、自己を正当化します。
自己を正当化せずにいられないのは、人に正当化バイアスがそなわっていることが原因です。
あたなたが問題の原因を他人のせいにしようとしたとき、または、他人が問題の原因をあなたのせいにしようとしたとき、正当化バイアスの存在を認識しましょう。
それだけで、客観的な視点に立つことができるため、冷静に状況に対処できるようになります。