法条競合とは?
まず、たとえ話から入ります。
業務上横領罪と横領罪は、犯罪の内容が重なっているため、法条競合の関係にあるのです。
業務上横領罪と横領罪は、法条競合の関係にあるため(犯罪内容が重なっているため)、業務上横領罪が成立する場合は、横領罪は成立しません。
業務上横領罪と横領罪の関係のように、1個の犯罪行為が、複数の犯罪(法律の条文)に触れた場合に、触れた犯罪のうち、1個の犯罪のみが成立する場合を
法条競合
といいます。
1個の犯罪が成立すれば、ほかの犯罪は成立しなくなります。
業務上横領罪が成立すれば、横領罪は成立しなくなるいった感じです。
法条競合の例
法条競合の例をもう1つ紹介します。
現住建造物等放火罪が成立する場合は、建造物等以外放火罪は成立しなくなります。
たとえば、家が放火されたことにより、家と一緒に物置も燃えたとします。
この場合、家が燃やされたことは、現住建造物等放火罪となり、これが基本的な犯罪(メインの犯罪)になります。
小屋が燃やされたことは、建造物等以外放火罪となり、これは補充的な犯罪になります。
基本的な犯罪である現住建造物等放火罪で、
家が燃やされたことのほか、小屋も燃えたこと
を内容とする犯罪事実で処罰できるため、現住建造物等放火罪と建造物等以外放火罪は、法条競合の状態に立ちます。
なので、現住建造物等放火罪が成立すれば、建造物等以外放火罪は成立しなくなります。
家が燃やされたことで、現住建造物等放火罪で処罰し、加えて、小屋も燃やされたことで建造物等以外放火罪でも処罰するというダブルパンチの方法で処罰することはありません。
【犯罪の罪数】の記事まとめ一覧
【犯罪の罪数③】科刑上一罪とは? ~「観念的競合」「牽連犯」を解説~
【犯罪の罪数④】併合罪とは? ~「同時審判の利益」「刑の計算方法」を解説~