公判における検察官の役割
検察官は、
犯罪を捜査し、犯人を裁判にかけ、裁判で犯人の有罪を証明する職務を果たす国家機関
です。
検察官は、公訴提起前(事件を起訴する前)には、犯罪捜査をする捜査官としての職務を行います(刑訴法191条)。
公訴提起後は、検察官は、公判において、起訴した事件の有罪を証明するために、捜査で集めた証拠を裁判官に提出したり、意見を述べるなどの訴訟行為を行います。
検察官は、単に犯罪被害者の代弁者として公判に臨むのではなく、公益の代表者として、公判に従事します(検察庁法4条)。
なので、被告人の犯罪を立証する証明だけでなく、公益の代表者としての立場から、被告人のために利益となる訴訟行為も行います。
例えば、
- 被告人に実刑ではなく、執行猶予をつけることが相当であるとの求刑を行うこと
- 被告人の利益となる判決となるように上訴をして、上級の裁判所に判決の是正を求めること
- 検察官は、被告人に不利な証拠だけでなく、被告人の利益となる証拠の提出義務を負っていること(刑訴法300条)
などが挙げられます。
検察事務官が検察官の事務を扱い、公判に臨む場合がある
検察事務官は、
検察官を補佐し、検察官と一緒に業務を遂行する国家公務員
検察事務官の中には、法務大臣の命により、区検察庁の検察官の事務を取り扱う者がいます。
この検察官の事務を取り扱い検察事務官を
検察官事務取扱検察事務官
といいます(検察庁法36条)。
検察官事務取扱検察事務官は、検察官の事務を取り扱うことができるので、検察官と同様に、
- 犯罪捜査をすること
- 事件を起訴すること
- 公判に検察官として立ち、訴訟行為(証拠を裁判官に提出すること、求刑を行うなど)
- を行うこと
などができます。
検察審査会が起訴相当とした事件は、弁護士が検察官の職務を担って公判に臨む
検察官が事件を不起訴処分にしたことに不服がある場合、検察審査会にその不服を申立てることできます。
そして、その申立てを受けた検察審査会は、検察官が事件を不起訴処分にしたことの判断の当否を審査します。
検察審査会が、検察官が不起訴にした事件を起訴相当と認め、起訴をすべき旨の議決をした場合には、検察官ではなく、裁判所から指定された指定弁護士が事件の起訴と公判を行います(検察審査会法41条の9)。
付審判事件は、弁護士が検察官の職務を担って公判に臨む
付審判事件とは、公務員職権濫用罪などについて告訴・告発をした者が、検察官の不起訴処分に不服があるときに、事件を地方裁判所の審判に付することを請求することにより起こした裁判をいいます。
付審判事件は、検察官が事件を起訴して裁判になっている事件ではありません。
それゆえ、公訴の維持・遂行に当たるのは、検察官ではなく、裁判所から指定された弁護士です(刑訴法268条1項)。
付審判事件は、裁判所から指定された弁護士が、裁判確定まで検察官の職務を行います(刑訴法268条2項)。
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