これから14回にわたり、刑罰の説明をします。
刑罰の種類
刑罰は、刑罰によってはく奪される法益の種類によって、
- 生命刑
- 自由刑
- 財産刑
- 身体刑
- 名誉刑
に分類されます。
① 生命刑とは、人の生命を奪うもので、死刑(刑法11条)が該当します。
② 自由刑とは、受刑者の自由を奪うもので、拘禁刑(刑法12条)、拘留(刑法16条)が該当します。
③ 財産刑とは、受刑者から一定額の財産をはく奪する刑罰で、罰金(刑法15条)、科料(刑法17条)、没収(刑法19条)が該当します。
④ 身体刑とは、受刑者の身体を傷つける刑罰(むち打ち刑 、刺青刑など)ですが、現行法上は認められていません。
⑤ 名誉刑とは、受刑者から一定の権利・資格を奪う刑罰ですが、現行法上は認められていません(なお、公職選挙法252条に定める選挙権及び被選挙権の停止は刑罰ではありませんが、実際には、名誉刑と同様の機能を果たしています)。
現行刑法が規定する刑罰
現行刑法が刑罰として規定しているものは、
の6種類です。
これら以外には、刑罰は存在しません。
法令違反に対する制裁として加えられる法益のはく奪であっても、上記6種類の刑罰に入らないものは法律上、刑罰とはいえません。
例えば、
- 秩序罰としての過料(例えば、刑訴法160条)
- 道路交通法上の反則行為に対する反則金(道交法128条)
- 公法上の特別の身分関係にある者について、国家公務員法、地方公務員法等で規定する懲戒しての免職・停職・減給・戒告などの処分(国家公務員法82条、地方公務員法29条)
は刑罰ではありません。
主刑と附加刑
死刑・懲役・禁錮・罰金・拘留・科料は、それ自体を独立して科することができるため「主刑」といいます。
没収は、主刑を言い渡す場合にそれに附加して言い渡すことができるにすぎないため「附加刑」といいます。