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【脳科学】シャーデンフロイデとは~人は成功者が失敗したところを見ると快感を得る~

 人は、人生でうまくいっている人が失敗したところを見ると、思わず喜びの感情が沸き起こってしまうようにできています。

 今回は、この感情について説明します。

シャーデンフロイデとは

 脳科学において、他人が失敗したところを見た時に、思わず沸き起こってしまう喜びの感情をシャーデンフロイデといいます。

 シャーデンフロイデは、日常で頻繁に沸き起こる感情です。

 例えば、職場の自分より評価されている同僚が、仕事でミスを犯して上司からとがめられているのを見ると、じわじわと喜びの感情が沸き起こるのを感じることがあります。

 同僚でなくても、職場の誰かが失敗しているのをみると、じわじわと喜びの感情が沸き起こってくることがあります。

 この心の動きは、メディアが頻繁に利用して視聴率稼ぎをします。

 分かりやすい例が、芸能人の不倫です。

 芸能人が不倫しようがしまいが、視聴者には何の関係もありません。

 にもかかわらず、多くの人が芸能人の不倫ネタに強い興味を示します。

 このとき、視聴者は、不倫報道で芸能人が矢面に立たたされているのをみて、じわじわとした喜びやささやかな快感であるシャーデンフロイデを感じます。

 すると、視聴者はテレビのチャンネルを不倫報道にロックオンするので、テレビ局は視聴率を獲得できます。

 テレビに限らず、ネットニュースや週刊誌でも同じことです。

 不倫ネタをネットニュースに掲載すればアクセスを集められますし、週刊誌に掲載すれば売り上げがアップします。

 人が持っているシャーデンフロイデを引き出すことがビジネスになるのです。

ほとんどの人がシャーデンフロイデに無自覚である

 ほとんどの人は、シャーデンフロイデの感情を自覚しないようにします。

 それは、道徳的には、シャーデンフロイデがいやらしい感情であり、不謹慎な感情だからです。

 人は、自分を正当化する見方をするので、「自分は他人がこけているのを見て楽しくなる人間ではない」と考えます。

 また、自分が、他人がこけているのを見ると楽しくなる感情を持っていることを他人に知られたくありません。

 そのような感情を持っていることを他人に知られてしまったら、周囲の人から、「心の冷たい人だな」とか「人間のクズだな」とか思われてしまいます。

 人は、シャーデンフロイデの感情を隠します。

 その証拠に、シャーデンフロイデは日常で頻繁に沸き起こる感情なのに、シャーデンフロイデや、またはそれと類似する概念が世の中で認知されず、一般的に知られていません。

シャーデンフロイデが沸き起こる理由

 人が、シャーデンフロイデという感情を持っているのは、人間が、他人より優れていたいと欲する「優越性の追求」の本能をもっているためです。

 人は、自分より優越的ポジションにいる人が失敗したり、こけたりしているのを見ると、その時点において「自分の方が優れている」という感覚(錯覚)を持ち、優越性を感じることができます。

 人は優越性を感じると脳からドーパミンが分泌されるため、快感を感じます。

 ドーパミンは覚せい剤使用時に分泌される脳内麻薬でもあり、依存性があり、その威力は絶大です。

 シャーデンフロイデは、人にドーパミン分泌を伴う快感をもたらすため、依存性があり、反復して沸き起こるのです。