職場や家庭など様々な場所で人を責めることが癖や習慣になっている人たちがいます。
今回は、人を責めたり、あおったり、どやしたりする人の心理について説明します。
人を責めると快楽を獲得できる
人を責めると快楽を獲得できます。
人を責めた後は、スカッとした気持ちになり、ストレス解消にもなります。
人を責める時、以下のようなプロセスで脳内で快楽物質の分泌が行われ、人は快楽を獲得します。
人を責める→相手を屈服させる→優越感を得る→脳から快楽物質であるドーパミンが分泌される→快楽を獲得する
人は、他人より優れていたいと欲する「優越性の追求」という本能を持っています。
人は、優越性を感じることができると、優越性の追求の本能が満たされ、脳からドーパミンが分泌されるようにできています。
ドーパミンは覚せい剤使用時にも分泌される依存性のある神経伝達物質であるため、一度、人を責める快楽を経験すると、脳がその快楽を記憶して「あの快楽をもう一度味わいたい」と考えるようになり、再びその快楽を再現しようとします。
また、人は、自分は正しいことをしていると思えるだけでも快感を得ることができます。
人は「承認欲求」という本能を持っており、自己承認したい、または他者から承認されたいという願望を生まれ持っています。
責めることは、責めている本人にとっては、間違った行動をした人を正すという正義感を持って行う制裁行動です。
責める行動(制裁行動)をとって、相手を正そうとすることで、「自分は正しいことをしている」と思うことができ、承認欲求が満たされた感覚になれるため、ドーパミン分泌による快感を得ることができます。
人を責める→自分は正しいことをしているという感覚を持てる→承認欲求が満たされる(自己承認)→脳から快楽物質であるドーパミンが分泌される→快楽を獲得する
このように、人を責めることは癖になり、習慣化するのです。
たちが悪いのは、人を責める快感を再現するために、獲物を探し出そうとする人たちです。
このような人たちは、理不尽に責めても、反射的に「すいません」といって反抗しない責めやすい人(カモ)を探し求めています。
カモにされた人は、責める人の快楽獲得のための材料にされ、事あるごとに責められるループにはまります。
職場において、特に非があるわけでもないのに、上司や先輩から強く当たられる人がいると思います。
これは、責められるループにはまり、上司や先輩の「責める快楽」獲得のためのカモにされているからです。
ドーパミンについて
嬉しい、楽しい、気持ちいいなどの快楽は、ドーパミンの分泌によりもたらされます。
ドーパミンは、ノルアドレナリンと同じく興奮性の神経伝達物質です。
ドーパミンは、〝快楽物質″とも呼ばれ、脳内に快感をもたらします。
ドーパミンの力は絶大であり、快楽からその行動がやめられなくなったり、薬物、アルコール、ギャンブル、ゲームなどの依存症を引き起こすことがあります。
薬物中毒、アルコール中毒、ギャンブル中毒、ゲーム中毒といわれる人たちがいますが、これらはドーパミン中毒に陥っている人たちと言い換えることができます。
ドーパミンは一度で始めると、理性をつかさどる脳の前頭葉をはじめ、脳のさまざまな神経を刺激して快感を届け、理性が働かなくなります。
理性が働かなくなることで、自分の意思で行動を止めることが難しくなります。
理性が働かないので、他人の言葉が届きにくくなります。
お母さんが、ゲームに熱中している子どもに「ゲームをやめろ」と言っても、子どもがゲームをやめないのは、ドーパミンの分泌により理性が働かず、言葉が届かなかったり、自制心が低下しているためです。
捕捉
人を責めるに至らなくても、助言や説明レベルでも快楽を獲得できます。
「自分は正しいことをしている」と思うこと自体が快感だからです。
加えて、相手を説き伏せることで、相対的に自分が置かれているポジションを高く見せることができるため、優越性の追求本能が満たされ、さらなる快感を得ることができます。
頼んでもないのにやたらと助言や説明をしてくる人は、快楽の獲得欲求に突き動かされている可能性があります。
「いじめ」は快楽獲得の手段である
人を責める快楽の習慣化がエスカレートしたものがいじめです。
いじめは、異質なものを見つけ出し、それを攻撃する快感を得るために行われます。
いじめをする人たちからは、時折、笑顔がこぼれ落ちます。
いじめをする人たちの脳内は、ドーパミンが分泌されて快感状態になっているからです。
いじめを受けている人は、 いじめをする人たちの快楽獲得のための道具にされていることに気づいてください。
いじめられる自分に非があると勘違いして精神を病んではいけません。
人を責めて快楽を獲得する人たちに自分の人生を台無しにされないでください。
捕捉
いじめる側は、快楽獲得を目的とする以外にも、自己防衛を目的に増殖します。
先にいじめる側に回ることで、他者からいじめられる側に回る可能性を低くすることができるからです。
いじめる側に加担する行為は、自分がいじめを受ける側に回らないための自己防衛手段になるのです。
この自己防衛機能により、いじめる側は増殖し、いじめられる側は窮地に追い込まれていきます。