コミュニケーション

【雑談力⑦】「返報性の法則」を利用した雑談

「返報性の法則」を利用した雑談

 雑談の量は、人間関係の親密度に比例します。

 良い雑談ができれば、人間関係の親密度が高まるということです。

 親密度が高まる雑談にするためには、

相手に対して好意的であることを表現する

ことが有効になります。

 人は、

相手から受けた好意をお返ししようとする『返報性の法則』

と心理法則を持っています。

 たとえば、

友人から誕生日プレゼントをもらったら、その友人の誕生日には、プレゼントをお返ししなければならない…

と思う心理です。

 人は、相手から受けた好意を好意で返すようにプログラムされているのです。

 なので、雑談において、

「私はあなたに好意を持っていますよ」

という気持ちを表現すると、返報性の法則により、相手も、

「私もあなたに好意的ですよ」

という表現を返してくれやすくなります。

 このことから、親密度が高まる良い雑談をするためには、相手に対する好意を表現することが有効になるのです。

 つまり、雑談においては、

 「返報性の法則」を利用した雑談

を意識的に実行するとよいのです。

肯定的なメッセージを雑談に交える

 「返報性の法則」を利用した雑談を実現するために、

肯定的なメッセージを雑談に取り入れる

ことを心がけましょう。

 たとえば、長期間にわたり親密な関係を保っている夫婦は、お互いにパートナーに肯定的なメッセージをきちんと伝えていることが分かっています。

 長期間にわたり親密な関係を保てる人たちは、

「ありがとう」「お疲れ様」「疲れてない?」「あなたがいて助かる」などの相手への

  • 感謝
  • ねぎらい
  • 配慮
  • 好意

の言葉を、自然に雑談に交えて伝えることができるのです。

 こうした何気ない肯定的なメッセージが、お互いの関係を親密にさせ、より強固なものにしてくれます。

 肯定的なメッセージを雑談に取り入れることを常に考え、チャンスがあれば、それを逃さずに、肯定的なメッセージを相手に伝えましょう。

「表現する」「表現しない」をコントロールする

 雑談やコミュニケーションにおいて、何でもかんでも相手に表現する姿勢はNGです。

 頭に浮かんだことを厳選せずに言葉にするようでは、否定的な言葉や、相手にとって好ましくない言葉を言ってしまう可能性が高くなります。

 雑談やコミュニケーションにおいては、

自分の意思と選択で、言葉を表現するかしないかを決め、表現をコンロトールする

ことが必要なのです。

 「表現する」「表現しない」をきちんと自分の頭の中で考えて、「言う」「言わない」を選択するということです。

 「言う」ことも大切ですが、それと同じくらい「言わない」ことも大切なのです。

 「言わない」というのは、『言うことを我慢する』とか『言えない』ということではなく、

「言わない」ことの有効性を考えた上で、「言わない」という選択をする

ことです。

 「言わない」こともコミュニケーションスキルです。

 雑談やコミュニケーションにおいて、「言う」「言わない」をコンロトールすることは、必須のスキルです。

否定的なメッセージを減らす

 「返報性の法則」を利用した雑談をするためには、肯定的なメッセージを言うことのほか、

否定的なメッセージを減らす

ことが大切です。

 ダメ出し、ディズり、小言、愚痴などの否定的なメッセージは、ついつい言ってしまいたくなります。

 しかし、否定的なメッセージが多くなると、親密度が高まる雑談になりません。

 否定的なメッセージが口から出そうになっても、ぐっとこらえ、「言わない」という選択をしましょう。

 「表現する」「表現しない」をコントロールするのです。

否定的な表現ゼロで、肯定的な表現だけが残る雑談を目指す

 雑談において、

  • 求められていないのにアドバイスをする
  • 相手の話の腰を折る
  • 相手の話を否定する
  • 相手の話を訂正する

といった打ち手はNGです。

 雑談の目的は、会話のラリーを続けて、相手との親密度を高めることです。

 雑談では、少しくらい相手が間違っていようと、意見に食い違いがあろうと、目をつむって話を続けるのが正解になります。

 雑談においては、余計な一言や、否定的なメッセージは、排除しなければなりません。

 余計な一言や、否定的なメッセージは、相手を引かせ、黙らせてしまいます。

 余計な一言や、否定的なメッセージを排除し、肯定的な表現だけが残る雑談にすると、相手は、

自分が肯定されている

と感じ、「返報性の法則」の心理効果が発動して、つい自分の気持や考えを話したくなります。

 人は、

否定的な表現ゼロで肯定的な表現だけが残る雑談

の場合において、自分の気持ちや考えが言いやすくなるのです。

 ポイントは、

否定的な表現がない

ことにあります。

 人は、ネガティブ本能をもっており、ネガティブなことに対して、強烈かつ過剰に反応するメンタル設計になっています。

 なので、特に雑談においては、否定的な表現が1個でも含まれればアウトです。

 否定的な表現が含まれた瞬間に、相手は本能的に引いてしまい、人間関係の親密度が高まる良い雑談ではなくなります。

まとめ

 雑談の目的は、会話のラリーを続け、人間関係の親密度を高めることにあります。

 その目的を達成する方法は、否定的な表現を排除し、肯定的な表現だけが残るメッセージを相手に発信することです。

 肯定的なメッセージをもらえると、相手は「返報性の法則」により、肯定的なメッセージを返したくなります。

 これにより、人間関係の親密度が高まる良い雑談になります。

【余談】肯定的なメッセージを伝えることは、実は難しい

 妻や夫などの慣れた相手に対して、いきなり肯定的なメッセージを増やすことをすると、パートナーは、

「あれ?なんかいつもと違うな」

と違和感を感じるかもしれません。

 また、肯定的メッセージを発する方は、

しゃくにさわる、負けた気がする

などの抵抗感を感じる場合もあります。

 さらに、「いつも~してくれてありがとう」や「~してしまってごめんなさい」のように、

きちんと感謝や謝罪を伝えることが、気恥ずかしくてできない

場合もあります。

 このように、否定的なメッセージを減らすことよりも、肯定的なメッセージを増やすことの方が難しいかもしれません。

 肯定的なメッセージを相手に送る行為は、違和感・抵抗感・恥ずかしさから、メンタルブロックが発動する場合があるので、実は簡単ではないという側面があります。

 ここで、私としては、このメンタルブロックを壊し、肯定的な表現ができるようにするために、

肯定的な表現を、感情と切り離して、スキルとして実行する

ことをおすすめします。

 肯定的なメッセージを送る際に生じる、違和感・抵抗感・恥ずかしさなどの感情は端っこにおいて置き、バカの一つ覚えのように、思考停止で手持ちのスキルカードを切る感覚で、肯定的なメッセージを相手に送るということです。 

 人は、感情が邪魔して認知が歪み、実行すれば良い結果を招くのに、実行ができない生き物です。

 なので、感情が邪魔しないように、スキル化して、たんたんとスキルとして実行していく方が、きっと良い結果を招くでしょう。

 感情移入せずにスキルとして実行しておけば、たとえ相手の反応がいまいちでも、こちらのメンタルがぐらつくことはなく、精神が安定します。

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