法律(刑事訴訟法)

自動車検問とは? ~「種類(交通検問・警戒検問・緊急配備検問)」「法的根拠」「適法事例」を判例、警職法などで解説~

自動車検問とは?

 自動車検問とは

犯罪を予防し、犯罪を犯した犯人を検挙するため、警察官が走行中の自動車を停止させて、運転手に質問したり、車両の確認をすること

をいいます。

 自動車検問は、目的によって、以下の3つの検問に分類されます。

① 交通検問

 交通違反の予防、交通違反をした犯人の検挙を目的とする検問

② 警戒検問

 交通違反ではなく、一般犯罪(殺人罪、窃盗罪など)の予防と犯人の検挙を目的とする検問

③ 緊急配備検問

 特定の犯罪が発生した場合に、特定の犯人を検挙し、情報収集を目的とする検問

自動車検問の法的根拠

 自動車検問を直接定めた法律はありません。

 しかし、自動車検問は、以下の①~④を法的根拠にして行うことができるとされます。

① 職務質問(警職法2条Ⅰ)の一環として行うことができる

② 現行犯逮捕(刑訴法213条)・緊急逮捕(刑訴法210条)を行う場合に、それに付随して行うことができる

犯人を逮捕する場合、逮捕に付随して、令状なしで捜索・差押・検証などの強制捜査ができる刑訴法220条)ことから、任意に行われる自動車検問も当然にできるという理解になります。

③ 車両の危険防止措置(道路交通法61条、63条、67条)の一環として行うことができる

④ 任意捜査(刑訴法197条Ⅰ)の一環として行うことができる

自動車検問の法的根拠と適法性について判示した判例

 自動車検問の法的根拠と適法性について判示した判例を2つ紹介します。

大阪高裁判例(昭和38年9月6日)

自動車検問の態様

 走行中の自動車の停止を求める

裁判官の判断

 裁判官は、

  • 一般の歩行者であれば、警察官は、その挙動、態度を注視することによって、職務質問の要件の存否を判断することができるが、高速度で疾走する自動車に乗車している者に対しては停車しなければ、職務質問の要件の存否の判断をすることはもとより、職務質問を行うことは事実上不可能である
  • したがって、自動車を利用する者に対しても、警察官職務執行法2条第1項は、警察官に対し、職務質問の権限を与えているものと解すべきであり、職務質問の要件の存否を確認するため自動車利用者に停車を求める権限をも合わせて与えたものといわなければならない
  • 交通検問について、交通違反の多発する地域等の適当な場所において、交通違反の予防、検挙のため自動車検問を実施し、同所を通過する自動車に対して走行の外観上の不審な点の有無にかかわりなく、短時分の停止を求めて、運転者等に対し必要な事項についての質問などをすることは、それが相手方の任意の協力を求める形で行われ、自動車利用者の自由を不当に制約することにならない方法、態様で行われる限り、適法なものである

と述べ、

  • 自動車検問が、警職法2条1項に基づいて認められる行為であり
  • 自動車検問にあたり、走行中の自動車の停止を求める行為は適法である

と判示しました。

最高裁判例(昭和55年9月22日)

自動車検問の態様

 酒気帯び運転の犯人が、警察官の制止を聞かず、車を運転して逃走しようとしたので、警察官は、犯人の車の運転席の窓から手を差し入れ、エンジンキーを回してスイッチを切り、犯人が運転するのを制止した。

裁判官の判断

 裁判官は、

  • 警察官が、運転席の窓から手を差し入れ、 エンジンキーを回転してスイッチを切った行為は、警察官職務執行法2条1項の規定に基づく職務質問を行うため停止させる方法として必要かつ相当な行為であった
  • 道路交通法67条3項の規定に基づき、自動車の運転者が酒気帯び運転をするおそれがあるときに、交通の危険を防止するためにとった、必要な応急の措置にあたる

と述べ、

  • 自動車検問が、警職法2条1項と道交法67条の規定に基づいて認められる行為であり
  • 自動車検問にあたり、エンジンキーを回してスイッチを切る行為は適法である

と判示しました。

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