法律(刑事訴訟法)

刑事訴訟法が定義する警察官を解説 ~司法警察員と司法巡査の違い~

刑事訴訟法上の警察官とは?

 みなさんの身の回りにいる警察官は、刑事訴訟法上は、司法警察職員といいます(刑訴法189Ⅰ)。

 司法警察職員は、捜査権限の上下によって、司法警察員と司法巡査に分けられます(刑訴法39Ⅲ)。

 刑訴法39条2項には、

『検察官、検察事務官又は司法警察職員司法警察員及び司法巡査をいう。以下同じ。)は、捜査のため必要があるときは、公訴の提起前に限り、第一項の接見又は授受に関し、その日時、場所及び時間を指定することができる。』

と記載されており、この条文で司法警察職員は、司法警察員と司法巡査に分けられることが明記されています。

司法警察員と司法巡査の違い

 司法警察員と司法巡査の違いは、

捜査権限の違い

にあります。

 司法警察員は、刑事訴訟法に記載される司法警察職員が持つ全ての犯罪捜査権限を持っています。

 これに対し、司法巡査がもつ犯罪捜査権限は、司法警察職員よりも限定されます。

 これは、司法巡査が、刑事訴訟法上の考え方として、

司法警察員を補助する

という立場にあるからです。

司法警察員に与えられて、司法巡査には与えられていない捜査権限

 刑事訴訟法において、司法警察員に与えられ、司法巡査には与えられていない捜査権限は以下で説明する①~⑧の8つです。

① 令状の請求権限

 司法巡査には、令状(通常逮捕捜索差押検証身体検査の令状)を裁判官に請求する権限がありません(刑訴法199Ⅱ、218Ⅵ)。

 令状は、司法警察員が裁判権に請求しなければ違法になります。

 ただし、司法巡査は、通常逮捕状の請求はできませんが、緊急逮捕状の請求はできます。

 緊急逮捕の場合は、緊急を要するため、司法巡査でも逮捕状を請求できることになっています。

 ちなみに、通常逮捕状の請求は、ほかの令状に比べ、請求権限者の要件が厳しく、司法警察員のうち、警部以上の階級を持つ人でなければ、令状を請求できないことになっています(刑訴法199Ⅱ、刑訴法規則141の2)。

② 逮捕された被疑者を検察庁に送致し、必要に応じて釈放する権限

 根拠法令:刑訴法203、211、216

告訴・告発の受理及び取消し権限、自首の受理権限

 根拠法令:刑訴法241,243,245

④ 事件を検察庁に送致する権限

 根拠法令:刑訴法246,242,245

⑤ 押収物を処分する権限

 根拠法令:刑訴法222Ⅰただし書き,122~124

⑥ 被疑者の鑑定留置請求権、鑑定処分許可請求権

根拠法令:刑訴法224Ⅰ,167Ⅰ,225Ⅰ・Ⅱ、168Ⅰ

⑦ 検察官の指揮により検視を行う権限

 根拠法令:刑訴法229Ⅱ

⑧ 検察官の指揮により収容状を発する権限

 根拠法令:刑訴法485

【参考】警察法における警察官の階級

 刑事訴訟法おいては、警察官は、司法警察職員と呼ばれ、さらに、司法警察職員は、捜査権限の上下により、司法警察員と司法巡査に分けられます。

 これは、刑事訴訟法上の捜査権限の上下を規定するものです。

 これに対し、警察法においては、警察官は、上官から順に、

  • 警視総監
  • 警視監
  • 警視長
  • 警視正
  • 警視
  • 警部
  • 警部補
  • 巡査部長
  • 巡査

の階級に分けられています。

 警察法における階級の分類は、警察官内部における指揮監督関係を規定したものです。

 警察官は、上官の指揮監督を受け、警察の事務を執行します(警察法63条)。

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