【脳科学】人を説得する方法~脳は「正論(聞こえのいい文句)」を「正しいこと」と認識する~

 人の脳は、〝正論″や〝倫理的である″とか〝美しい″と感じる文句( 聞こえがいい文句) を「正しい」と認識するようにできています。

 人は、〝自分は正しい考えを持っている″とか〝自分は正しいことを言っている″と思えること自体に快感を感じます。

 これは、

 自分は正しい人間だという認識になれる→優越感を感じることができる(優越性の追求本能が満たされる)→快感を感じることができる

という脳の動きになるからです。

※ 人は優越感を感じられると脳からドーパミンが分泌されて快感を得られる脳の作りになっています。

 脳内では、「正しいこと」=「快感」であり、「快感」=「正しいこと」という認知になります。

 ゆえに、

〝正論″や〝倫理的である″とか〝美しい″と感じる文句(聞こえがいい文句)を正しいことと認知する→その認知に快感を感じる→ 〝正論″や〝倫理的である″とか〝美しい″と感じる文句(聞こえがいい文句)を正しいことと認識する

という構図になります。

人を説得したければ、正論(聞こえのいい文句)を織り交ぜるとよい

 正論とは、字面だけ見たら、正しさと、正しさの認識から生じる快感を感じられるものなので、ほとんどの人が肯定的認知をします。

 しがたって、人は、大多数を敵に回す行為となる正論の否定や非難ができません。

 この記事を書いている今話題になっている2020年4月1日から実施される同一賃金同一労働制度を例に説明します。

 この制度により、同じ仕事をしている正社員と非正規雇用者で、賃金や福利厚生に差があるのはおかしいとして、非正規雇用者が正社員と同じ仕事をしているのなら、非正規雇用者を正社員と同等の待遇することが経営者に義務づけられます。

 この制度の実施により、正社員と非正規雇用者の賃金などの待遇差がならされることになります。

 非正規雇用者としては嬉しい制度ですが、正社員にとっては、賃金引き下げまたは賃金上昇停止が見込まれ、歓迎したくない制度です。

 既得権者である正社員としては抵抗したいところですが、抵抗できません。

 それは、同一賃金同一労働が正論であり、否定や非難ができないからです。

 同一労働同一賃金制度は国民から一切の非難・反発が起こることなく法律施行となりました。

 このように正論をうまく使うと、相手の抵抗を受けずに、相手を説得でき、自分の思うように相手を動かせる場合があります。

 会社における決裁やプレゼンテーション、家庭における夫や妻への交渉など、様々な場面で正論(聞こえのいい文句)は有効なので、人を説得して同意を求めるときは、正論(聞こえのいい文句)を主軸にして話をしていくことをおすすめします。

 ただし、正論だけでゴリ押しすると、相手が言い返せないことによるストレスをため、逆に反発をくらうことになるので、使い方には注意しましょう。

【捕捉】危険をあおることも説得で強力な手法である

 人を説得するのに、正論で押す手法ほか、危険をあおる手法もかなり強力です。

 脳の行動原則は、快楽への接近と危険の回避の2択です。

 危険をあおる手法は、人の「危険を回避したい」という本能に訴えかけることから、場合によっては、人を説得するにあたり、正論で押す以上に有効な手法になります。

 例えば、

① 相手を説得しにいく場合

「~しておかないと危険」「~しておかないと後から非難される」と言う

② 相手の説得を跳ね返す説得をする場合

「失敗したらどうするんだ?」「事故が起こったらどうするんだ?」「けがをしたらどするんだ?」と言う

などが挙げられます。

 危険をあおる手法が強力な理由は、人の危険を回避したい本能に訴えかけるほか、もう一つあります。

 それは、危険が起こらないことを完全に証明することは不可能であり、危険をあおる発言に反論することが難しいからです。

 これは「起きないこと」や「ないこと」は証明できないことによります(これを「悪魔の証明」といいます)。

 「起きること」や「あること」を証明するためには、一例をあげればよいだけですが、「起きないこと」や「ないこと」を証明するためには、人や物の動き、天候などの自然現象の動きなど、あらゆる現象を調べ尽くさなければならず、それは不可能だからです。

 「危険がないこと」「後から非難されないこと」「失敗しないこと」「事故やけがが起こらないこと」の証明は、悪魔の証明であり、不可能ということです。

 ゆえに、反論ができません。

 危険をあおる手法は、危険を回避したいという人の本能に訴えかける上、悪魔の証明とセットになって反論を許さず、強力な力を発揮します。

 これが、相手を説得するのに危険をあおる手法が有効な理由です。

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