刑法(逃走の罪)

逃走援助罪(6)~「罪数の考え方」「本罪と①暴行罪、②脅迫罪、③公務執行妨害罪との関係」を説明

 前回の記事の続きです。

罪数の考え方

 逃走援助罪(刑法100条1項・2項)において、被拘禁者を逃走させる目的をもって器具を提供するとともに(1項)、看守者等に対し暴行・脅迫を加えた場合(2項)について、

1項の逃走援助罪(「逃走を容易にすべき行為」をしての逃走援助)は、法定刑が重い2項の逃走援助罪(「暴行又は脅迫」をしての逃走援助)に吸収され、逃走援助罪の一罪として処断される

と解されています。

逃走援助罪と他罪との関係

暴行罪、脅迫罪との関係

 2項の逃走援助罪(「暴行又は脅迫」をしての逃走援助)が成立するときは、別に暴行罪刑法208条)、脅迫罪刑法222条)は成立しません。

公務執行妨害罪との関係

 逃走援助罪が、暴行・脅迫を手段としてなされ、その相手方が公務員であった場合、公務執行妨害罪刑法95条1項)は、2項の逃走援助罪(「暴行又は脅迫」をしての逃走援助)に吸収され、公務執行妨害罪は成立せず、2項の逃走援助罪のみ成立すると解されています。

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