刑法(強要罪)

強要罪(5) ~「強要罪における暴行の態様」「人の身体に対する暴行であることを要しない」「物に対する暴行であってもよい(間接暴行)」を判例で解説~

強要罪における暴行の態様

 強要罪(刑法223条)における暴行の態様について説明します。

人の身体に対する暴行であることを要しない

 強要罪における暴行の態様は、人に対して加えられれば足り、必ずしも人の身体に対するものであることを要しないと解されています。

 これは、強要の手段として用いる暴行が、脅迫と同様の効果を持つものであれば足りるためです。

 たとえば、机を相手の近くに蹴り飛ばして相手をビビらせる方法でも強要罪は成立します。

 強要罪の成立を認めるに当たり、蹴り飛ばした机が相手の身体に当たる必要はありません。

物に対する暴行であってもよい(間接暴行)

 物理的には物に対する暴行であっても、それが間接的に相手方に感応するものであれば、強要罪の手段としての暴行となり得ます。

 たとえば、

  • 視覚障害者の杖を奪うことにより、視覚障害者の行うべき権利を妨害する
  • 家の建具、窓、戸を除去して居住を不可能にする
  • 役所に婚姻届を提出しようとしている者に対し、届書を奪い破棄する

などが間接暴行による強要罪にあたる考えられます。

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