強要罪の既遂時期
暴行脅迫の結果として、義務のないことを行わせ、又は、権利の行使を妨害した時点
です。
強要罪の故意
強要罪などの故意犯については、犯罪を犯す意思(故意)がなければ、犯罪は成立しません(詳しくは前の記事参照)。
強要罪の故意は、
脅迫又は暴行によって人をして義務のないことを行わせ、又は、権利の行使を妨害することを表象、認容すること
です。
強要行為と結果との因果関係についても認識していることが必要ですが、細部の認識までは必要でなく、
- 被強要者により害悪の通告が意識されるであろうことの認識
- 暴行脅迫によって強制しうるであろうことの認識
- 被強要者が事実上強制されて現実に特定の作為、不作為の態度に出るであろうことの認識
で足りるとされます。
故意の観点から強要未遂罪が脅迫罪と認定されることはない
強要罪の故意をもって強要行為をしたときは、たとえ強要が未遂に終わっても、脅迫罪(刑法222条)にはなりません(大審院判決 昭和7年3月17日)
これは、強要の故意で犯罪に及んでいる以上、脅迫の故意がないことになるので、脅迫罪が成立することはないためです。