怒り、不安、恐怖など、私たちは様々な感情に支配されて生きています。
これらの感情は、脳からアドレナリンなどの脳内物質が分泌されることによって引き起こされます。
私たちの精神や性格や人格は、脳内物質の分泌により形作られているといっても過言ではありません。
どのような脳内物質が分泌されると、どのような精神状態になるのかを理解することが重要です。
自分自身が脳内物質により支配されていることが分かると、自分自身を客観視できるようになり、自分自身のコントロールできる領域が広がります。
人は、怒り、不安、恐怖の感情に支配されるとき、脳内でどのような物質が分泌され、どのような反応が起こっているのでしょうか。
怒り、不安、恐怖が生じる原因→コントロール感の欠如
怒り、不安、恐怖などの負の感情は、コントロール感の欠如により引き起こされます。
人の脳は、状況をコントロールできないと感じると、怒り、不安、恐怖などのストレスを生み出すようにできています。
このコントロール感の欠如によるストレス下では、理性的思考をつかさどる前頭葉が機能不全を起こし、認知能力が急激に低下し、思考力が激減します。
怒り、不安、恐怖などのストレス下においては、気が動転したり焦ってしまったりして、まともに思考できなくなるのはこのためです。
怒り、不安、恐怖が生み出される根本的な原因は、状況のコントロール感の欠如です。
では、怒り、不安、恐怖が生みされるとき、脳内ではどのような脳内物質が分泌され、それに伴いどのような反応が起こっているのかを説明します。
ノルアドレナリンとアドレナリンの分泌、偏桃体の反応
状況のコントロール感の欠如が起こると、ストレスが生まれ、
脳からノルアドレナリンとアドレナリンが分泌
されたり
不安や恐怖をつかさどる脳の〝偏桃体″という部位が反応
します。
怒りをつかさどるノルアドレナリンとアドレナリン
ノルアドレナリンは、ストレスに反応し、神経を興奮させ、怒りを感じさせる物質です。
怒りを感じさせる物質であるため、〝闘うホルモン″とも言われます。
怒りを感じたときに、顔が赤くなったり、声や手が震えるのは、ノルアドレナリンの分泌の影響です。
また、怒りで理性や思考力が低下し、冷静な態度がとれなくなるのもノルアドレナリンの分泌効果です。
ノルアドレナリンが分泌されると同時に、アドレナリンが分泌されます。
ノルアドレナリンが神経に作用するのに対し、アドレナリンは筋肉に作用します。
アドレナリンは筋肉を増強させ、身体への酸素の供給量を増やす効果があり、身体を戦闘モードにします。
不安や恐怖をつかさどる偏桃体
状況のコントロール感の欠如によるストレスを感じ、怒りの感情に分岐せず、不安や恐怖の感情に分岐した場合は、不安や恐怖をつかさどる〝偏桃体(へんとうたい)″という脳の部位が反応します。
偏桃体の反応により、不安、恐怖などのネガティブ感情は強固になっていきます。
偏桃体は、不安や恐怖などのネガティブな感情を引き起こす脳の部位です。
ノルアドレナリンやアドレナリンが分泌が弱く、感情が怒りに向かわなければ、不安と恐怖の感情に支配されます。
不安と恐怖の感情に押しつぶされてしまうと、身体に様々な不調が生じます。
具体的に説明すると、自律神経(消火器、循環器、呼吸器など自分の意思とは関係なく24時間働き続けている神経)が乱れることにより、例えば、
- 腸の運動に異常が起こり、腸が締め付けられるような不快感を感じる→気持ち悪さ、吐き気、だるさを引き起こす
- 胃が痛む、もたれる
- 血管が収縮し、手が冷たくなる・しびれる、貧血になる
- 体温調節ができなくなる→発汗する、口が渇く
- 呼吸が浅くなり過呼吸になる→めまい、手のしびれを引き起こす
- 内耳のリンパ液に異常が生じ、めまい、吐き気を引き起こす
などの不調が起こります。
この体調の乱れが行き過ぎると、精神を病んだ状態になります。
怒り・不安・恐怖の原因まとめ
状況のコントロール感の欠如から、怒り・不安・恐怖が生まれます。
怒りは、ノルアドレナリン(神経に作用)、アドレナリン(筋肉に作用)の分泌により強化さ、人を興奮させて攻撃的にします。
不安・恐怖は、脳の偏桃体の反応により強化されるとともに、自律神経を乱し、身体に不調を生じさせます。
【追記】ドーパミンの解説
脳内物質について、ノルアドレナリンとアドレナリンを解説しました。
ほかに、ドーパミンという脳内物質について解説します。
ドーパミンは快楽物質です。
私たちの日常生活に深いかかわりがある重要な脳内物質なので解説することにしました。
快楽をつかさどるドーパミン
嬉しい、楽しい、気持ちいいなどの快楽は、ドーパミンの分泌によりもたらされます。
ドーパミンは、ノルアドレナリンと同じく興奮性の神経伝達物質です。
ドーパミンは、〝快楽物質″とも呼ばれ、脳内に快感をもたらします。
ドーパミンの力は絶大であり、快楽からその行動がやめられなくなったり、薬物、アルコール、ギャンブル、ゲームなどの依存症を引き起こすことがあります。
行動がやめれらないのは、ドーパミンが出始めると、ドーパミンは、理性をつかさどる脳の前頭葉をはじめ、脳のさまざまな神経を刺激して快感を届けるため、理性が働かなくなり、自制心が低下するためです。
薬物中毒、アルコール中毒、ギャンブル中毒、ゲーム中毒といわれる人たちがいますが、これらはドーパミン中毒に陥っている人たちと言い換えることができます。
逆に、ドーパミンには、人に快楽行動を継続させて、繰り返し同じ行動を再現させようとする力があるので、ドーパミンの分泌をうまく利用すれば、継続性・反復性を効かせた長期的行動がとれるため、個人ビジネスや副業で成果をだせる可能性が高くなります。
個人ビジネスや副業をやるなら「好きなことをした方がいい」とか「やってみて続けられることをした方がいい」といわれますが、これは言い換えると、その行動に対してドーパミンの分泌があるか、ドーパミンの分泌により、その行動の継続と反復ができるかを問うているのです。
例えば、資産性のあるビジネス(不動産投資、ブログ・youtube投稿などの広告ビジネスなど)や資格学習(宅建や司法試験などの国家資格、TOEIC、プログラミング学習など)は、継続性と反復性のある長期行動ができないと結果を生み出せないので、ドーパミンの分泌があるかどうかがカギになります。