人は答えを出すことを他人に頼る
難しい問題が起こったとき、ほとんどの人が、その問題を解決するための答えは、自分で見つけに行くのではなく、誰かに見つけてもらいたい、そして、その答えを見せてほしいと願います。
その方が危険を冒すことなく、安全を確保しながら前に進めるからです。
例えば、地雷原を歩いて渡りきらなければならない状況があったとしましょう。
自分自身が先陣を切って地雷原を歩いて渡り、安全な道を見つけようとは思いません。
誰かが地雷原を歩いて渡りきったのを見て、安全な道が分かった後に、その安全な道を歩きたいと考えます。
人は、危険を回避したい欲求を持っているので、自分の身を守るために、誰かが正解を出すまで待ち、誰かが出してくれた正解を確認し、安心安全を確定させてから、その正解の方向に歩もうと考えるのです。
自分が先陣を切って答えを出しに行くというのは、危険が伴うので、本能が行動にストップをかけるのです。
職場
職場で、やたらと人に確認したがる人がいますが、これは自分で考えて答えを出すことに不安を感じているためです。
自分で出した答えを掲げて前に進んで失敗した場合に、人のせいにできなくなり、責任の所在が自分になってしまうことを嫌悪するのです。
そこで、良からぬことが起こった場合の責任の所在を他人に転嫁するために、自分が出した答えではなく、他人が出した(他人に出させた)答えをよりどころとして行動するのです。
人は、社会的学習により、他人が出した答えを模倣する
人は、成功者の姿を見て学び、成功者が出した答えを正しい答えとして認知します。
そして、成功者が出した答えを真似れば、安全に、かつ、高い確率で自分も成功を収めて報酬を獲得できると考えるため、成功者が出した答えを模倣します。
人は、他人を観察し、他人の影響を受けて、良いもの、悪いものを学習していきます。
これを社会性学習といいます。
人間には、生まれながらにして、社会性学習の能力を授けられています。
最近の赤ちゃんは、おもちゃより、四角くて固い無機質なスマートフォンに興味を示して触ったりなめたします
赤ちゃんは、親が四六時中スマートフォンをいじっているのを見ているので、スマートフォンが価値のあるものだと学んでいるのです。
このように、人は、生まれながらにして、無意識に社会性学習を行っています。
インターネットのレビュー
社会性学習の身近な例は、インターネットのレビユーです。
例えば、アマゾンで何か商品を買おうとした場合、レビューを見ます。
レビューの評価が良ければ、大丈夫な商品なんだと判断して購入します。
レビューの評価が悪ければ、欠陥のある商品なんだと判断し、購入を避けます。
レビューを見る行為は、他人の行動を見て、ものの良し悪しを判断する社会性学習能力の発現といえます。
答えを出すことを他人に頼っては成功できない
人は、他人が答えを出しくれることに期待します。
自分が先陣を切って答えを出しに行くのはリスクだからです。
他人が出した答えを模倣して、安全かつ効率よく成功にたどり着きたいと本能で願います。
しかし、この本能のまま生きたのでは、成功することはできません。
成功することができない理由は、他人の二番煎じなる、先行利益を得られないなどいろいろありますが、私は、一番大きな理由は、自分で考えて行動する意思と気概が失われ、思考停止の状態になり、良い結果を手繰り寄せることができない体質になることにあると思っています。
このような体質になる主な理由は、答えを出すのを他人に依存することで、「状況のコントロール感の欠如」が起きること、「ポジティブ感情の拡張効果」が発揮できないことの2点があげられます。
状況のコントロール感の欠如
他人が答えを出してくれるのを待ってから、他人の出した答えを模倣するスタンスでは、行動と思考を他人に依存することになるため、状況を自分でコントロールすることができません。
すると、「状況のコントロール感の欠如」が起こります。
「状況のコントロール感の欠如」が起こると、怒り、憤り、不安、恐怖などのストレスが生まれます。
ストレスが生まれると、人間的・理性的思考をつかさどる脳の前頭葉が機能不全を起こし、思考力が低下します。
明晰な思考ができない状態になり、良い結果を出すことができなくなります。
(「状況のコントロール感の欠如」については、〝「残酷すぎる成功法則」を読んでの学習記録″の記事で解説しています)
ポジティブ感情の拡張効果が発揮できない
自分では答えを出さず、他人が答えを出してくれるのを待つという行為は、自分が先頭に立って答えを出しに行くことのリスクを回避したいと欲するネガティブ本能に基づいた行動であり、自分の力に賭けて報酬を獲得しに行こうとするポジティブさがありません。
ゆえに、ポジティブ感情の拡張効果が発揮できず、思考力と創造力を引き出すことができません。
ポジティブ感情の拡張効果とは、喜びや幸福などのポジティブな気分でいるとき、人の思考の幅が自然に拡張し、より創造的になり、枠にとらわれずに考えることができるようになる脳の仕組みに基づく機能です。
(「ポジティブ感情の拡張効果 」については、〝「脳科学は人格を変えられるか?」を読んで記憶に刻み込みたい部分をブログに書いてみた②″の記事で解説しています)
ポジティブ感情の拡張効果がない状況では、ニューロンが発火して脳の快楽物質であるドーパミンが分泌されず、集中力と粘り強さが発揮でません。
よって、他人の答えを待つ人は、良質な思考ができず、結果を出すことが出せません。
自分で答えを作り出そうとする人は、上記と逆の現象が起こります。
自分が出した答えを行動に移し、結果としてうまくいかなかった場合の責任は、自分がとることになるので、真剣に正しい答えが何かを思考します。
失敗を回避しようとするネガティブマインドではなく、自分の出した答えで成功をもぎ取りにいくというポジティブマインドなので、脳のポジティブ感情の拡張効果を発揮でき、思考力と創造力が拡張します。
危険の回避ではなく、報酬獲得という快楽を追求する行動になるので、ドーパミンが分泌され、集中力と粘り強さを発揮できます。
よって、自分で答えを出して、報酬を獲得しに行こうとする人は、結果を出せる可能性が高くなるのです。
私たちは、答えは自分で生み出すものという教育を受けていない
ほとんどの人が他人が答えを出してくれるのを待っています。
〝答えは自分で出すもの″というマインドを持っている人はほとんどいません。
なぜなのでしょうか。
それは、私たちは、子どもの頃から、学校教育や社会教育で、先生や親など、他人が正解として設定した答えをなぞるように訓練を受けてきているためです。
私たちは、他人が正解として設定した答えをなぞることで、他人から評価され、報酬を与えられてきました。
学校のテストがよい例です。
テスト作成者が設定した答えをなぞることができれば正解のマルをもらえて、優秀というレッテルを貼ってもらえます。
テスト作成者が設定した答えをなぞれなければ不正解となり、成績不良のレッテルが貼られます。
このシステムが、高校入試や大学受験になると人生にかかわります。
試験出題者が正解として設定した答えをなぞることができれば、点数を獲得でき、偏差値の高い高校やランクの高い大学に合格できます。
ランクの高い大学に合格できれば、優良企業やホワイト企業に就職できる可能性がぐんと高まります。
私たちは、子どもの頃に、他人が正解として設定した答えをなぞることができる能力こそが、自分の人生を良いものにするという刷り込みを受けて育っているのです。
自分で考えて作り出したオリジナルの答えは評価の対象外です。
したがって、私たちは、〝答えは自分で作り出すもの″という思考回路が形成されていないのです。
自分が作り出した答えを正解にする
〝他人が作った答えが正解である″という刷り込みを持っている人は、その刷り込みを解除したほうがいいと思います。
他人が答えを出してくれるのを待つという他人に依存した受け身の体質では、自分の力に賭けて結果をもぎ取りに行く行動を起こせないからです。
逆に、〝自分で出した答えを正解にする″というマインドがあれば、結果をもぎ取りに行く行動を起こすことができます。
〝自分で出した答えを正解にする″という思考回路があれば、自分で考え抜く意思力と、行動を起こす勇気を引き出し、自分の能力を高めることができます。
〝自分で出した答えを正解にする″というマインドは成功を引き寄せます。