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【心理学】感情ヒューリスティックスとは?

まず、ヒューリスティックスとは何か?

 ヒューリスティックスとは、人が、無意識にうちに、複雑な思考作業を、単純な思考作業に置き換えてしまう思考メカニズムをいいます。

(脳は、動かすのに膨大なエネルギーを必要とする臓器なので、複雑な思考はできる限り避け、楽をしたいのです)

 ヒューリスティックスにより、人は、熟考や論理的思考をほとんど行わずに、経験則や固定観念を用いて答えを導く思考法を展開します。

 私たちが日常生活で最もよく使っている思考法です。

 たとえば、スーツを着ている人と、作業服を着ている人のどちらが社長かと聞かれたら、ほとんどの人が直感的にスーツを着ている人が社長と答えると思います。

 このように、先入観や偏見を用いて深く考えずに答えを出す思考法がヒューリスティックス思考です。

 ヒューリスティックス思考は、先入観や偏見を用いて、直感的に答えを出すため、出した答えの精度は低いという特徴があります。

ヒューリスティックス思考をしていることに無自覚

 私たちは、ヒューリスティックス思考をしていることに無自覚です。

 そもそも、ほとんどの人がヒューリスティックスという言葉を知らないので、自覚のしようがありません。

 人は、未知の事象があったときに、その未知の事象に名前をつけて認知することで、はじめて意識して扱えるようになります。

 日常生活において、ヒューリスティックス思考を使って生活していることに無自覚であるうちは、直感的に精度の低い答えを出し、精度の低い意志決定をしていることに気づくことはありません。

感情ヒューリスティックス

 感情ヒューリスティックスについて説明します。

 感情ヒューリスティックスとは、熟考や論理的思考をほとんど行わずに、好きか嫌いかだけに基づいて判断や決断を下すことです。

 人の意思決定は、理屈ではなく、感情に根付いて行われます。

 人が意思決定を行うにあたり、前提にある信念は、

  • 好きか、嫌いか
  • 気持ちが良いか、気持ちが悪いか

といった感情です。

 人の脳回路は、快楽に接近し、不快を避ける意思決定をするように、生まれたときから設置されています。

 私たちは、理論武装して、理屈で他人を説き伏せようとする場合がありますが、そのようなときでさえ、思考の根底にあるのは、理屈ではなく、自分にとって都合の良い感情です。

 私たちは、判断や決断を下すとき、感情ヒューリスティックスに基づく思考を行っているのです。

 しかも、そのことに気づいていません。

 感情ヒューリスティックスに基づく思考に逆らう場合は、感情ヒューリスティックスが発動を認識できるように学習し、必要なときにその知識を呼び出す必要があります。