現代において、心が傷ついたり、落ち込んだり、不安になったり、絶望感を感じたりするなど、メンタルを病む原因は専門書などでいろいろ述べられていますが、私は、人間の本能である集団欲・集団本能が害されることが根本的な原因であると考えています。
メンタルを病むのは集団欲・集団本能が害されることが原因である理由
人間が生物として生存するために持っている基本欲求として、「食欲」、「睡眠欲」、「性欲」、「排泄欲」、「集団欲」の5つが挙げられます。
この5つ欲求は、人間が生存するために備わっている本能です。
この5つ欲求、つまり、人間が生存するために必要な本能が害される状況は、生命の危機または種の存続の危機であると脳が認識するので、脳が、自分に対し、命を守り、危機を脱するための行動をとることを促すために、精神に恐怖、不安、不快感などの『生命の危機規模の精神的ダメージ』を与えます。
現代社会、特に日本における日常生活において、①「食欲」、②「睡眠欲」、③「性欲」、④「排泄欲」、⑤「集団欲」のうち、①「食欲」、②「睡眠欲」、③「性欲」、④「排泄欲」の4つが満たされないことでメンタルを病むことはないでしょう。
しかし、⑤の「集団欲」については別です。
「集団欲」は「集団本能」と言い換えることができます。
現代社会では、集団欲・集団本能が害される状況が多く発生します。
私は、仕事や私生活など集団の中にいるときは、毎度のことのようにダメ出し、ディスり、注意、文句、批判などを受け、集団欲・集団本能が傷つけられ、生命の危機規模の精神的ダメージを感じ、内臓がすりつぶされる思いをしています。
いじめを受けている子どもは、毎分毎秒、集団欲・集団本能を害され、生命の危機規模の精神的ダメージを受け、しかも、いじめから脱することができず、生命の危機規模の精神的ダメージを受け続ける無限ループを繰り返すので、命を絶つのも無理はないと思います。
現代社会において、『生命の危機規模の精神的ダメージ』を受ける原因となるのは、集団欲・集団本能が害されるときに限られます。
【まとめ】
現代社会において、
①「食欲」、②「睡眠欲」、③「性欲」、④「排泄欲」→害されない
⑤の「集団欲・集団本能」→害される
⇒『生命の危機規模の精神的ダメージ』を受ける原因は、「集団欲・集団本能」が害されたときだけである
⇒メンタルを病むのは集団欲・集団本能が害されることが原因である
集団欲・集団本能が備わっている理由
集団欲・集団本能とは、〝何らかの集団に属したい″という欲求のことです。
人間は、共同生活を営むことで、人間より力の強い生物の脅威からお互いの身を守り、集団の力を使い生きるために安全な環境を構築してきました。
原始時代に当てはめて考えてみると分かりますが、一人になった人間は猛獣に襲われて死にます。一人では狩りを成功さえることができずに餓死します。病気やけがをしても援助を受けることができず、そのまま死にます。
大昔の人間にとって、
- 一人になること
- 集団から省かれることと
- 集団から孤立すること
は死を意味しました。
そのため、集団から省かれなくない、孤立したくないという欲求と本能を強く持った人間が生き残りました。
そして、その生き残った人間の子孫が私たちです。
よって、私たちには、集団から省かれなくない、孤立したくないという欲求が、本能として強く備わっているのです。
現代における集団欲・集団本能の在り方
生命を維持するという意味で、現代社会は、集団を作らずとも、一人でも生きていける社会システムになっています。
一人でも生きている社会になったにもかかわらず、集団欲・集団本能は原始時代と変わらないパワーを発揮して過剰反応し、私たちを苦しめます。
現在社会では、集団欲・集団本能は適度にあればよいと思います。
集団生活を秩序をもって営もうとする意欲がある程度に集団欲・集団本能があれば十分だと思います。
現代では、集団欲・集団本能がないと死ぬということはありません。
にもかかわらず、私たちは、例えば、ちょっと他人から敵意(批判、苦言、注意など)を向けられただけで、集団欲・集団本能を敏感に反応させて、気持ちを落ち込ませます。
集団欲・集団本能は、本来的には、自分の生命を維持するために備わっている機能です。
しかし、現代人は、生命の維持に関係のないところで、集団欲・集団本能を敏感に反応させて、落ち込みを繰り返して精神を消耗し、メンタルを病んでいます。
これは、人間の元来からある本能が、現代社会の変化についてこれていないことの現れといえます。
メンタルを病みにくくするにはどうすればよいか?
メンタルを病みにくくするためにはどうすればよいか?
それは、
メンタルを病むのは、集団欲・集団本能が害されることが原因であることに気づく
ことです。
気づくだけでよいのです。
どうにかしようとする必要はありません(どうにもなりませんので)。
現代社会においても、集団欲・集団本能が敏感に反応してしまうことを今さらどうにもできません。
人類の歴史は200万年です(石器を使う原人が現れた時から起算)。
200万年引き継がれてきた集団欲・集団本能を都合よく無効化すことはできません。
集団欲・集団本能とはうまく付き合うしかありません。
メンタルを病む原因を知識として分かっている(気づいている)だけで、「今、精神が動揺して心が傷ついているのは、集団欲・集団本能が害されていることが原因だな」と思考して客観的な視点に立つことができ、精神的ダメージを軽減できます。
客観的な視点に立てることで、感情に支配されにくくなるためです。