「責任のバイアス」とは
「責任のバイアス」とは、
相手の貢献度より、自分の貢献度を高く見積もる
というバイアス(思考の癖、思い込み)をいいます。
仕事において、ほとんどの人が、主観的には、自分の能力と活躍度合いは平均以上であり、貢献度は高いと思っています。
みんなが平均以上の成績をとることは、数値上あり得ません。
心理学者マイケル・ロスとフィオーレ・シコリ―は、カップルに対し、家事、けんか解決など、パートナーとの関係を維持するためにしている自分の貢献度を調査しました。
すると、カップルの4組に3組が貢献度度の合計値が100%を大きく超える結果となりました。
夫が、「自分の貢献度は50%だ」と申告した場合、妻の貢献度も50%となるはずですが、妻は自分の貢献度を50%より高く申告したということです。
このように、研究からも、人は、『相手の貢献度より、自分の貢献度を高く見積もる』ことが分かっています。
自分の貢献度を高く見積もってしまう理由
人が、相手の貢献度より、自分の貢献度を高く見積もってしまう理由は、
- 人は、他人がしてくれたことより、自分がしてあげたことに関する情報を多く手に入れるから
です。
人は、自分がした努力は、体験して記憶しているので、すべて分かっています。
対して、パートナーがした努力については、一部しか見ることができず、一部しか分かっていません。
手に入れる情報量の差が、「責任のバイアス」を生むのです。
自分がしてあげたことの情報量が圧倒的に多くなり、相手がしてくれことの情報量は少ないことから、自分の貢献度を高く見積もってしまうのです。
まとめ
人は、悪気がなくても、
自分の貢献を過大評価し
他人の貢献を過小評価する
という思い違いをしてしまうことを肝に銘じましょう。
人は、お互いに、自分の貢献度合いを過大評価してしまうので、
- あいつは、努力が足りない
- あいつは、怠けている
- あいつは、能力が低い
というふうに、見下してしまいがちです。
そうなってしまえば、自分自身の心は、相手に対する不満で怒りがわき起こり、次第に、人間関係は不協和音とともに壊れていきます。
そうならないために、私たちは、「責任のバイアス」という『相手の貢献度より、自分の貢献度を高く見積もる』思考の癖を持っていることを理解し、勘違いして調子にのらないように自分自身を律して生きなければなりません。
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