人間関係を考える上で知っておくべき知識「愛着スタイル」について説明します。
愛着スタイルの理論は、イギリスの精神科医のジョン・ボウルビィやアメリカの発達心理学者のメアリー・エインスワースらによって1980年に確立されました。
愛着スタイルは、「安定型」、「回避型」、「不安型」の3タイプに分けられます。
この愛着スタイルの違いによって、他者とは自分にとってどういう存在なのかの価値観が変わってきます。
この価値観の違いが、他者に対する振る舞いの違いに現れます。
まずは、自分の愛着スタイルを理解しましょう。
そうすることで、自分にとっての他人との付き合い方を客観視でき、自分はどのように他人と付き合うのが最適なのかが分かります。
つぎに、他人の愛着スタイルを推察しましょう。
そうすることで、自分は他人に対してどう接するのがよいのかが見えてきます。
それでは、愛着スタイルについて説明していきます。
安定型
「安定型」の人は、他人に遠慮することなく、気後れせずに接していくことができます。
自分がその人に受け入れてもらえるかどうかを恐れない心を持っています。
他者とのフランクな関係の構築が得意です。
陽キャがこのタイプです。
回避型
「回避型」の人は、他者と深い関係を築くことに抵抗感を持っています。
他者に自分の心理的パーソナル空間に入ってこられることを拒絶します。
他者は、自分に安心を与えるより、自分を傷つける可能性の方が高いと感じており、他者と交流することを深層意識では拒否します。
陰キャがこのタイプです。
なお、 本当は「回避型」の陰キャだけど、 理想とする自分が陽キャであるため、 本質的には「回避型」なのに、無理して 「安定型」のように振る舞う人が結構います。
不安型
「不安型」の人は、他者に期待し、依存した付き合い方をします。
その結果、他者に嫌われたくない、他者が自分から離れてほしくないという焦燥感を持ちます。
関係がうまくいかなかったときに、他者に対する失望や喪失感を抱きます。
メンヘラがこのタイプです。
「不安型」の人は、他人に依存するため、悪い人の搾取対象にされやすいので、該当する人は気を付けましょう。
愛着スタイルのタイプを形成する要因
愛着スタイルのタイプを形成する最も大きな要因は、乳幼児期における両親などの特定の人との愛着形成だとされています。
乳幼児期に両親に愛情をもって育てられた子どもは、「安定型」のタイプになる可能性が高いとされます。
乳幼児期に両親に愛情をもって育てられた人は、 他者は自分に良いものをもたらす可能性が高いと考える傾向が高くなり、他者と積極的に関わろうとするためです。
これに対し、両親にかまってもらえなかった子どもは、他人に期待できないことを学習し、「回避型」か「不安型」のタイプになるとされます。
「回避型」の子どもは、おとなしく、人との遊びよりもおもちゃ遊びをする傾向にあります。
両親にかまってもらえず、拒絶されて心が傷つくことがないように、自分を守ることを学習したのが「回避型」です。
「不安型」の子どもは、両親がそばにいても自分に対してどう振る舞ってくれるの分からないので、 心が混乱し、 安心できないため、両親をコントロールできないのにコントロールしようとします。
その結果、他者に依存する気質が形成されます。
まとめ
愛着スタイルを理解することは、自分がどのような人間関係の構築の仕方をするのが最適なのか、また、特定の他人に対してどのような接し方をするのが有効なのかを推察することに役立ちます。
実生活で、自分の周囲の人に対し、愛着スタイルのタイプの当てはめを行ってみると、有効な人間関係の構築方法が見えてきたりします。
なお、私の場合は、「回避型」が当てはまります。
社会に出ると、様々な価値観を持った人と仕事をすることになる上、程度の差こそあれ、一定数の悪い人や問題のある人ととも関わることになります。
なので、「安定型」を基本的姿勢にするのは難しいですね。
敢えて「回避型」で入っていくのが安定という感じです。
ただ、価値観を同じくする人や信頼できる人の集団にいるときは「安定型」で入って大丈夫です。
むしろ、「安定型」で入らないと良い関係が築けませんので使い分けが必要です。