恐怖は、簡単に学習できる
私は、人生において、たった一度だけ経験した出来事なのに、35歳になった今でも、繰り返し思い出すことがたくさんあります。
たとえば、
- 保育園児の頃、廊下で走ってきた友達と衝突し、その友達が大量の鼻血を出し、廊下が血の海になったこと
- 小学生の頃、野球部の試合でエラーをしたら、監督教師から怒鳴りつけられたこと
- 中学生の頃、授業中に机に落書きをしていたら、暴力的教師から、授業中にぶちぎれられ、クラスの真ん中で公開処刑にあったこと
- 大学生のころ、夜の人気のない駐車場でヤンキーに絡まれ、1万円を恐喝されたこと
などなど。
これらは、すべて恐怖体験です。
自分の人生において、一度しか経験していない体験です。
一度しか体験していないのに、ふとした瞬間に、当時の情景を思い出して、ぞくぞくすることがあります。
これからも、何かのきっかけで思い出してしまい、きっと忘れることはありません。
恐怖体験が強く記憶に残る原因は、感情を伴う体験は、簡単に学習できることにあります。
たとえば、おむつをはいた2歳児に、トイレでおしっこをすれば ほめられることを、根気をもって、繰り返し学習させれば、トイレでおしっこをするようになります。
2歳児は、ほめられるという期待を学習をしたのです。
恐怖はもっと簡単に学習できます。
2歳児がおむつでおしっこをしたら、怒鳴って、叩いて、恐怖を体験させれば、2歳児はトイレでおしっこをするようになります。
ほめるときほど、根気と繰り返しの学習は必要ありません。
恐怖の学習に反復は必要ないのです。
なぜ恐怖は簡単に学習できるのか?
恐怖が簡単に学習できるのは、人にネガティブ本能がそなわっているためです。
人は、恐怖や不安など、ネガティブな事に注意を向けるように進化してきました。
狩猟採取時代においては、ネガティブな人間ほど生き残り、子孫を残すことができます。
たとえば、狩りをするとき、ポジティブ思考で、ズカズカ森に入っていき、ジャブジャブ濁った川に入っていったら、ライオンやワニなどの猛獣に襲われて死にます。
ネガティブな感情に敏感に反応し、慎重に、そして臆病に行動できる人が生き残れたのです。
私たちは、そのようなネガティブ本能をもつ先人たちのDNAを引き継いでいるので、その子孫である私たちも、ネガティブな出来事に敏感に反応してしまうのです。
それゆえに、恐怖などのネガティブな出来事は、一発で、強く記憶に刻み込まれてしまうのです。
したがって、私たちは、恐怖を簡単に学習できるのです。
簡単に学習できるのは、恐怖だけではない
みなさんも、自身も経験から分かるとおり、簡単に学習できるのは、恐怖だけではありません。
- 不安
- 心配
- 怒り
- 恥
- 緊張
- 血の気の引く驚き
- 不快感
- 気持ち悪さ
- 否定
など、あらゆるネガティブな感情を伴う体験・出来事は、簡単に学習できます。
反復学習を要しないので、一発で記憶に刻み込まれます。
これは、自分の意識とは関係なく、人間のネガティブ本能がなしてしまうワザです。
そのため、コントロールができません。
まとめ
恐怖などのネガティブ感情を伴う出来事は、簡単に学習できてしまいます。
私は、トラウマやフラッシュバックにさいなまれることがありますが、それは、人間にネガティブ本能がそなわっていることが原因であると理解し、仕方のない事だと割り切っています。
ネガティブ本能のDNAをパスしてきた先人たちのせいなので、自分には否がないと考えるようにしています。