ヘルパーズ・ハイとは?
ヘルパーズ・ハイとは、
誰かを助けたときに、脳内からドーパミンという快楽物質が分泌され、充実感、高揚感を感じることができる現象
です。
人を助けたり、人の役に立つ行為をすることは、たとえそれが自己犠牲を払う行為だとしても、無理のない範囲であれば、気持ちが良くなる行為なのです。
ボランティア精神が旺盛な人や、助けたがり屋さんなどに対し、「何でこの人は、こんなに人のために頑張ってくれるのだろう?」と不思議に思ったことがあると思います。
この手の人たちは、ヘルパーズ・ハイになっている場合があります。
だから、自分を犠牲にしてギブができるのです。
ボランティアや人助けをする人は、正義感、善意または偽善などの動機のほかに、ヘルパーズ・ハイになって、気持ちが良くなるからやっている場合もあるわけです。
ヘルパーズ・ハイに関する研究
心理学者エリザベス・ダンらの調査
【調査内容】
被験者に、朝、自分の幸福度を評価してもらい、続いて、思いがけない贈り物として、20ドル(約2,000円)が入った封筒を渡す。
その20ドルは、その日の午後5時までに使わなければならないというルールがある。
20ドルを使った後、被験者に再び自分の幸福度を評価してもらう。
【調査結果】
20ドルを自分のために使った人と、ほかの人のために使った人がいました。
自分のためにお金を使った人の幸福度は朝と変わりませんでした。
しかし、ほかの人のためにお金を使った人は、幸福度がかなり上がったと報告しました。
普通なら、自分のためにお金を使った人の方が、幸福度は高くなると予想するところです。
しかし、実際は、人のためにお金を使った人の方が、幸福度が高くなりました。
これが、ヘルパーズ・ハイの力です。
他人のためにお金を使ったことで、
➡誰かを助けた、誰かの役に立てたという感覚なる
➡脳内からドーパミンという快楽物質が分泌される
➡充実感、高揚感を感じることができ、幸福度が上がる
という現象が起こったのです。
ボランティアをするとヘルパーズ・ハイになれる
ボランティア活動をすると、幸福度、人生への満足度、自尊心が高まり、うつ病が軽減することが分かっています。
ボランティアなど、人に何かしてあげることは、生きがいをもたらし、自分自身の問題から目をそらさせ、人から評価されていると感じさせます。
これは、ヘルパーズ・ハイの力です。
100時間ルール
ボランティア活動は、年間100時間を超えると、幸福度と人生への満足度が下がっていくことが分かっています。
与え続けることは、エネルギー、時間、金を消耗し続けることであり、次第につらくなっていくからです。
逆に言えば、ボランティア活動は、年間100時間までであれば、幸福度、満足度、自尊心が高まっていくということです。
これを「100時間ルール」といいます。
年間100時間は、週2時間程度です。
ボランティア活動は、週2時間程度までとしておけば、活力が得られ、疲労感を抑えられ、幸福度は良い水準をキープできます。
ヘルパーズ・ハイになるためには、与えすぎは禁物です。
無償のギブは、週2時間程度にしておくなどのコントロールをすることは、疲弊を防ぐために有益です。
ちなみに、私は、20代は、「他人の役に立つことをするのが、人のあるべき姿だ」という人生観で生きていて、自己犠牲は払ってでも、人に与えるギバーをやっていました。
今思えば、当時、ヘルパーズ・ハイになっていたと自認しています。
30代になった今は、自己犠牲はやめて、自分の取り分を考える生き方に切り替えています。
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