刑法(総論)

刑罰(6)~没収②「追徴とは?」を説明

 前回の記事の続きです。

追徴とは?

1⃣ 追徴は、刑法19条の2において、

と規定されます。

 追徴は、

刑法19条1項3号又は4号に定める物(①犯罪生成物、②犯罪取得物、③犯罪行為の報酬として得た物、①②③の物の対価として得た物)の没収に代えて、これと等価値の金員の納付を命じる処分

です。

 追徴は、没収の換刑処分としての意義を有します。

2⃣ 追徴は、犯罪時に没収可能な一定の物が、事後的に、法律上・事実上没収不能となった場合に認められる処分です。

 従って、

  • 没収し得ない非有体物
  • 犯人以外の所有に属する物

は追徴できません。

追徴価額の考え方

 追徴価額につき、授受された賄賂が没収不能となりその価額を追徴すべき場合には、授受後にその物の価額の増減があったとしても、その物の授受当時の価額を追徴額とすべきであるとする判例があります。

最高裁判決(昭和43年9月25日)

 裁判所は、

  • 授受された賄賂が没収不能となりその価額を追徴すべき場合には、授受後においてその物の価額の増減があったとしても、その物の授受当時の価額を追徴額とすべきである

と判示しました。

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