秘密録音とは?
秘密録音とは、
会話の当事者の一方が、相手の同意を得ずに、会話をひそかに録音すること
をいいます。
ちなみに、会話の当事者とは関係のない第三者が、会話をひそかに録音することを
盗聴
といい、秘密録音とは区別されます。
秘密録音の目的
秘密録音の目的は、
犯罪事実を証明するための証拠作り
です。
秘密録音は、犯罪被害者が、自分が犯罪被害にあったことを、警察に届け出るために有効になります。
たとえば、恐喝の被害にあった場合、何の証拠もなく警察に行って被害を届け出ても、事件として取り扱ってもらうことは難しいでしょう。
警察としては、犯罪が行われたことの証拠がある程度ないと動けないからです。
もし、ここで、恐喝されたときの状況をスマートフォンなどを使って秘密録音して、犯人が、
「1万円よこせ!金出さないと殺すぞ!」
などと言っている会話音声を録音できていれば、その会話録音データが犯罪を証明する証拠となり、警察に速やかに恐喝事件として取り扱ってもらえるでしょう。
秘密録音の適法性
ここで、相手の会話内容を勝手に録音する秘密録音は、違法ではないのか?という疑問が生じます。
結論として、秘密録音は、違法ではく、適法とされます。
この点については、最高裁判例(昭和56年11月20日)があり、裁判官は、
『対話者の一方が…会話やその場の状況を録音することは、たとえそれが相手方の同意を得ないで行われたものであっても、違法ではないと解すべきである』
と判示し、対話者の一方が、相手の同意なしに、ひそかに会話内容を録音することは違法ではないとしました。
ちなみに、この判例では、「新聞記者が取材の結果を正確に記録するために会話を録音したという事情」を考慮し、秘密録音を適法としています。
秘密録音は、一応は適法とされるものの、裁判で争われた場合、録音の目的、方法などの事情を考慮した上で、適法性が判断されることになります。
とはいえ、少なくとも、相手との会話の内容を証拠とするためにした録音は、適法と判断されるでしょう。
この点については、最高裁判例(平成12年7月12日)があり、裁判官は、
『証拠として取り調べられた録音テープは、被告人から詐欺の被害を受けたと考えた者が、被告人の説明内容に不審を抱き、後日の証拠とするため、被告人との会話を録音したものであるところ、このような場合に、一方の当事者が相手方との会話を録音することは、たとえそれが相手方の同意を得ないで行われたものであっても、違法ではない』
と判示し、後日に争いになった場合の証拠とするためにした秘密録音は適法であると判断しました。
このことからも、恐喝、詐欺などの犯罪被害にあいそうな場合は、積極的に秘密録音を行っておくことをお勧めします。
秘密録音で作成した音声データが、後日、警察に被害届を出しやすくしたり、裁判で犯人の有罪を証明するための有力な証拠になります。