窃盗罪㉛ ~「常習特殊窃盗・常習累犯窃盗と他罪との関係」を説明~
前回の記事の続きです。
常習特殊窃盗・常習累犯窃盗と他罪との関係
以下では、常習特殊窃盗罪と常習累犯窃盗罪のことを、常習窃盗といいます。
窃盗罪との関係
常習性の発現とはいえない窃取行為は、常習窃盗の罪には包摂されません。
とはいえ、その窃取行為が、常習窃盗とは別個の単純窃盗罪(刑法235条)を構成し、常習窃盗と併合罪の関係に立つと解すると、常習窃盗と窃盗罪の2つの罪で処罰されることになり、かえって処断刑が重くなって犯人に不利益になります。
そのため、その単純窃盗は、常習窃盗に吸収されるとする裁判例があります(福岡高裁宮崎支判例 昭和33年4月18日)。
窃盗目的の住居侵入罪との関係
窃盗を犯す目的で住居侵入を行った場合には、実際に窃盗行為にまで進んでおらず、住居侵入罪しか成立しない場合でも、その窃盗目的の住居侵入罪は、常習累犯窃盗となります。
たとえば、窃盗目的で住居に侵入し、窃盗の実行行為に着手する前に家人に見付かり逃げ出した場合は、窃盗未遂罪は成立せず、住居侵入罪のみが成立します。
このような場合でも、今回の窃盗目的の住居侵入の行為の前10年内に、窃盗罪により、3回以上、6月の拘禁刑以上の刑の執行を受けているなど、常習累犯窃盗の成立要件を満たせば、今回の窃盗目的の住居侵入罪は常習累犯窃盗として処罰されます。
この点を判示したのが以下の判例です。
裁判所は、
- 盗犯等の防止及び処分に関する法律3条中常習累犯窃盗に関する部分は、一定期間内に数個の同種前科のあることを要件として常習性の発現と認められる窃盗罪(窃盗未遂罪を含む。)を包括して処罰することとし、これに対する刑罰を加重する趣旨のものであるところ、右窃盗を目的として犯された住居侵入の罪は、窃盗の着手にまで至った場合にはもちろん、窃盗の着手にまで至らなかった場合にも、右常習累犯窃盗の罪と一罪の関係にあるものと解するのが、同法の趣旨に照らして相当である
と判示しました。
侵入具携帯罪との関係
機会を異にして犯された常習累犯窃盗と侵入具携帯(軽犯罪法1条3号)の両罪は、侵入具携帯が常習性の発現と認められる窃盗を目的とするものであったとしても、併合罪の関係になります(最高裁判例 昭和62年2月23日)。
侵入具携帯は、常習累犯窃盗罪に吸収されず、常習累犯窃盗罪とは独立した罪として成立するということです。
この場合、侵入具携帯と常習累犯窃盗罪の2つの罪名で起訴されて裁判を受けることになります。