害悪の告知の内容が条件きの加害でも脅迫罪が成立する
脅迫罪(刑法222条)の成立を認めるに当たり、害悪の告知の内容が条件付きの加害の場合でも、脅迫罪は成立します。
害悪の告知に際し、害悪の発生に一定の条件を付することは、通常ありうることです。
害悪の告知が条件付きであることを理由として、脅迫罪が成立しないということにはなりません。
参考となる判例として、次のものがあります。
大審院判決(大正11年4月25日)
この判例は、害悪の告知が条件付きであり、かつ、条件が未成就の場合でも脅迫罪の成立を認めました。
被告人が「僧侶の勤務をなすときは、闇討ち山の如くするぞ。生命は覚悟せよ」との葉書を郵送した事案で、裁判官は、
- 害悪の告知は条件付きであるが、元来、告知する害悪の到来を条件付きとすることは、脅迫罪の場合において、しばしば見るところの状態であって、その条件が未確定であっても脅迫罪を構成する
と判示しました。