前回の記事の続きです。
免訴の裁判
終局裁判の種類は、
に分けられます。
刑事訴訟法などの訴訟法上において「裁判」とは、
裁判所又は裁判長・裁判官の意思表示的な訴訟行為
をいいます。
一般的には、刑事事件の公判手続などの訴訟手続の全体を指して「裁判」ということが多いですが、訴訟法上は、訴訟手続の中の、裁判所又は判長・裁判官の意思表示的訴訟行為だけを「裁判」といいます。
この記事では、免訴の裁判について説明します。
免訴の裁判とは?
免訴の裁判は、
公訴権の消滅(以下の①~④)を理由に有罪・無罪の判断をせずに裁判を打ち切る裁判
をいいます(刑訴法337条)。
免訴の裁判は既判力が生じます。
つまり、免訴の裁判がなされると、同一の事件について再び公訴を提起することも、審理を行うことも許されなくなります(これを「一事不再理の原則」といいます)。
また、免訴の判決に対しては、被告人から無罪を主張して上訴することはできません(最高裁判決 昭和23年5月26日)。
免訴となる理由
免訴の理由は、以下の①~④のとおりです。
① その事件について、確定判決があるとき(刑訴法337条1項)
その事件について、確定判決があるときに免訴の判決が言い渡されるのは、「一事不再理の原則」に基づくものです。
ここでいう「確定判決」は、既判力のある裁判である
- 既判力のある実体判決である有罪判決・無罪判決
- 既判力を生じる形式裁判である免訴の判決
が該当します。
反対に、ここでいう「確定判決」に含まれないものは、既判力のない裁判である
が該当します。
※ 審判不開始決定とは、家庭裁判所が、犯罪行為を犯した少年に対して行う処分であり、軽微な事件であって再犯のおそれがないと認められた場合などにつき、調査のみを行って家庭裁判所の審判を開かずに事件が終了となるものです。
また、外国の裁判所で受けた確定判決は、ここでいう「確定判決」に含まれません(刑法5条)。
② 犯罪後の法令により刑が廃止されたとき(刑訴法337条2項)
③ 大赦があったとき(刑訴法337条3項)
大赦の効力は、
- 有罪判決があった者に対し、有罪判決の言渡しが効力を失わせる
- まだ判決がない者については、公訴権が消滅する(恩赦法3)
というものであり(恩赦法3条)、それゆえに免訴を言い渡すのものです。
④ 公訴時効が完成したとき(刑訴法337条4項)
公訴時効の説明は別の記事参照
次回の記事に続く
次回の記事では、
公訴棄却の裁判
を説明します。