刑事訴訟法(公判)

公判手続とは?① ~「公開主義」「公判廷における写真撮影・録音・放送・メモの禁止、傍聴人の制限は公開主義に反しない」を説明

公判手続とは?

 窃盗罪や傷害罪などの刑事事件の捜査は、警察官や検察官が行います。

 そして、事件の捜査を遂げると、検察官が、犯人(被疑者)を

を決めます。

 不起訴処分になると、事件はひとまず終結します。

 起訴になると、事件は裁判所によって審判されます。

 最初の裁判(一審)が行われ、その裁判の判決に不服のある場合、裁判の当事者(検察官・被告人)は、更に上級の裁判所に上訴控訴上告)することができます。

 控訴審二審ともいう)では、高等裁判所の裁判官の判断を求めることができます。

 控訴審の判決にも不服がある場合は、検察官・被告人は上告し、上告審で最高裁判所の裁判官の判断を求めることができます。

 上告審が最後の裁判であり、上告審の判決が確定することで、訴訟は終結します。

 この起訴(公訴提起)から裁判確定に至るまでの一連の訴訟手続の全体を

公判手続

といいます。

 公判手続は、

  1. 裁判所
  2. 検察官
  3. 被告人・被告人の弁護人

の三主体によって進められます。

公判手続の基本ルール

 公判手続には、以下の6つの基本ルールがあります。

  1. 公開主義
  2. 当事者主義
  3. 口頭弁論主義
  4. 直接主義
  5. 継続審理主義
  6. 予断排除の原則

 この記事では、①公開主義を説明します。

公開主義とは?

 公開主義とは、

裁判所の審判の傍聴を国民に許す主義

をいいます。

 具体的には、子どもでも大人でも誰でも、裁判が行われている法廷の傍聴席に座り、実際に行われている裁判を傍聴できます。

 なお、これを「裁判公開の原則」といいます。

 公開主義は、密室裁判を排除し、公判手続を国民の監視下で進めることによって、裁判の公正を担保し、刑事裁判に対する国民の信頼を保持することを目的とします。

公開主義が表れている法

 公開主義が表れている法として、以下のものがあります。

憲法37条1項

「すべて刑事事件においては、被告人は、公平な裁判所の迅速な公開裁判を受ける権利を有する」と定め、被告人の公開裁判を受ける権利を保障しています。

憲法82条1項

「裁判の対審及び判決は、公開法廷でこれを行ふ。」と定め、裁判は公開主義を採ることを宣言しています。

刑事訴訟法377条3項

 公判手続がこの公開手続に違反した場合は、「審判の公開に関する規定に違反した」に該当し、絶対的控訴理由となります。

刑事訴訟法405条1項

 裁判の対審及び判決を公開法廷で行わなかった場合、憲法違反として上告理由になります。

対審は非公開にすることができる。ただし、判決は非公開にできない。

 裁判所が

裁判官の全員一致

で、公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがあると決した場合には、

対審

は非公開とすることができます(憲法82条2項)。

 対審とは、裁判官の面前で、検察官と被告人が口頭で主張を述べる審理をいい、判決以外の審理と捉えるとよいです。

 非公開にできるのは、対審だけであり、判決の言渡しは必ず公開にしなければならない点がポイントになります。

 なお、裁判所は、憲法82条2項の規定により対審を公開しないで行うには、公衆を退廷させる前に、対審を公開しないで行うことを理由とともに言い渡さなければなりません(裁判所法70条)。

対審を非公開にできない事件もある

 事件によっては、判決のほか、対審も非公開にすることができないものがあります。

 具体的には、

  • 政治犯罪
  • 出版に関する犯罪
  • 憲法第3章で保障する国民の権利が問題となっている事件

は対審も非公開にすることはできません(憲法82条2項)。

特定の傍聴人の傍聴を禁止することは、公開主義に反しない

 公開主義は、密室裁判を排除し、公判手続を国民の監視下で進めることによって、裁判の公正を担保し、刑事裁判に対する国民の信頼を保持することを目的とします。

 なので、裁判の公正を維持するため、又は法廷の秩序を維持するために、特定の傍聴人の傍聴を禁止することは、公開主義に反しないとされます。

 具体的には、被告人、証人が特定の傍聴人の面前では充分な供述をすることができないと考えられるときは、裁判長は、被告人、証人が供述をする間、特定の傍聴人を退廷させることができます(刑訴規則202条)。

傍聴券を発行して、傍聴人の人数を制限することは、公開主義に反しない

 傍聴券を発行して、公開主義を秩序付けるために、傍聴人の人数を制限することは、公開主義に反しません。

 このことは、裁判所傍聴規則1条で示されています。

 この条文は、法廷の秩序を維持するために必要があると認めるときは、裁判長は傍聴券を発行し、これを所持しない者の傍聴を許さず、あるいは法廷で不当な行状をすることを疑うに足りる顕著な事情が認められる者等の入廷を禁止するなどの措置を採ることができると規定します。

公判廷における写真撮影、録音、放送を禁止することは、公開主義に反しない

 公判廷における写真撮影、録音、放送は、裁判所の許可を得なければ行うことができません(刑訴規則215条)。

 公開主義は、公判廷の無制限な解放を意味するものではないため、被告人や証人の人権保護などの見地から、公判廷における写真撮影、録音、放送を禁止しても、公開主義に反しないとされます。

傍聴人のメモは禁止又は規制することができる

 傍聴人が裁判の傍聴中にメモをとることについて、裁判所は禁止又は規制することができます。

 このことは、最高裁判決(平成元年3月8日)で示されています。

  この判決において、メモを取ることの自由は、憲法21条1項の規定の精神に照らして尊重されるべきであるとしつつ、憲法82条1項は、法廷で傍聴人がメモを取ることを権利として保障したものではなく、公正かつ円滑な訴訟の運営の妨げとなるおそれがある場合は、裁判長が法廷警察権に基づき、メモを取ることを禁止又は規制する措置を採ることができるとしました。

次回の記事に続く

 今回の記事では、公判手続における6つの基本ルールである

  1. 公開主義
  2. 当事者主義
  3. 口頭弁論主義
  4. 直接主義
  5. 継続審理主義
  6. 予断排除の原則

のうち、①公開主義を説明しました。

 次回の記事では、②当事者主義を説明します。

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