人は、一度、成功の恩恵にあずかってプラスの結果を出すと、そのプラスの結果(成功の錯覚資産)を使って次の勝負に臨むことができるので、次も成功しやすくなります。
反対に、一度、失敗してマイナスの結果を出すと、そのマイナスの結果(失敗の錯覚資産)が次の勝負にも響いてしまい、次も失敗しやすくなります。
つまり、一度成功して成功の錯覚資産を得た人は、次も成功してプラスの結果を出せる可能性が高くなります。
これが勝ち組のループです。
逆に、一度失敗して失敗の錯覚資産を作ってしまった人は、次も失敗してマイナスの結果を出してしまう可能性が高くなります。
これが負け組のループです。
この仕組みにより、成功する人、失敗する人の格差はどんどん開きていき、勝ち組と負け組が生まれるのです。
コインを投げて表と裏を当てるゲームをした場合、勝ち負けの確率は50%です。
しかし、社会おいては、同じことをやっても、人によって勝つ可能性と負ける可能性は異なります。
一度成功をつかみ、勝ち込んで成功の錯覚資産を蓄えている人(勝ち癖がついている人)が、次の勝負で勝つ可能性は50%以上です。
一度失敗し、負け込んで失敗の錯覚資産を持っている人(負け癖がついている人)が、次の勝負では勝てる可能性は50%以下になります。
(錯覚資産については、「【他人の評価で生きる人生がクソゲーな理由】正の相関関係バイアスと錯覚資産」で解説しています)
成功の格差が開く具体例
受験と就職は、勝ち組と負け組の格差があわられる分かりやすい例です。
大学受験に成功し、ブランド力のある大学に合格した人は、次の就職というフェーズで優良企業やホワイト企業に就職しやすくなります。
優良企業やホワイト企業への就職を成功させると、結婚のフェーズでも有利を得ることができます。
逆に、大学受験に失敗した人は、希望する企業に就職することが難しくなります。安月給の企業に就職することになると結婚のハードルが上がります。
仕事でも、一度優秀のレッテルを貼ってもらい係長、部長などの役職を得た人は、次の1ランク上のポストにつく候補者にあげられるので、上位の役職につきやすくなっていきます(出世コースに乗るというやつです)。
勝ち組と負け組で自己評価(セルフイメージ)とパフォーマンスが変わる
勝ち癖がついている人は、プラスのセルフイメージを持つことができます。
先ほどの受験と就職の例にあてはめると、「自分は大学受験、就職、結婚にも成功した成功者なんだ」というプラスのセルフイメージを持つことができます。
プラスのセルフイメージを持てると、脳が快の状態になり、脳の前頭前野の機能が高まります。
すると、思考力・創造力・行動力が上昇し、高いパフォーマンスを発揮できる状態になります(これを「ポジティブ感情の拡張効果」といいます)。
逆に、負け癖がついている人は、マイナスのセルフイメージを持ってしまいます。
「自分は大学受験に失敗した。だから、就職も理想どおりにいかない。収入が低いから結婚もできない。」というように、メンタルがマイナス方向に傾いてしまいます。
マイナスのセルフイメージを持ってしまうと、脳が不快の状態になり、脳の前頭前野の機能が激減します。
(前頭前野は、不安・恐怖・緊張などネガティブ感情を感じると機能不全を起こす脳の部位です)
すると、思考力・創造力・行動力が低下し、良好なパフォーマンスが発揮できない状態になります。
勝ち組は、良いセルフイメージを持つことができ、次も勝ちやすい状態が醸成されます。
負け組は、良いセルフイメージを持つことができず、次も負けやすい状態が醸成されます。
負け組と勝ち組で他者評価とチャンスが変わる(ハロー効果)
心理学で、「ハロー効果」と呼ばれる現象があります。
ハロー効果とは、良い面でも悪い面でも、その人の目立つ特徴に引きずられて、全体の評価が決まってしまうという人間の心理法則をいいます。
社会において、ハロー効果はかなり機能しています。
むしろ、ハロー効果しか機能していないといっても過言ではありません。
勝ち続ける人は、他者から、「この人は能力が高く、運もある人だ。何をやってもうまくやってくれるに違いない」という評価を受けます。
ハロー効果が発動し、勝ち組という特徴に引きずられて、全体の評価も勝ち組になるのです。
他者から良いハロー効果を引き出せる勝ち組は、他者から良い評価と次のチャンスをもらいやすくなり、さらに勝ち癖のループを加速させることができます。
逆に、負け続ける人は、ハロー効果により、他者から、「この人は能力が低く、運のない人だ。期待できない。」という評価を受けます。
他者から良いハロー効果を引き出すことができない負け組は、他者から良い評価と次のチャンスをもらうことができず、さらに負け組のループが加速します。
(ハロー効果については、「【ハロー効果】職場で評価されるかどうかは、相手から好かれているか、好かれていないかで決まる」で詳しく解説しています」)
まとめ
人生は平等ではありません。
勝ち続ける人は、成功の資産を生かして勝ち続けることができます。
負け続ける人は、失敗の資産に引きずられて負け続けてしまいます。
とはいえ、この事実を情報として知っていることが大切になります。
この事実を言葉で定義できることで、状況を客観視して、対処策を講ずることができます。
勝ち組のループに入っている人は、そのループを意図的に利用して、さらに勝ち込むことができます。
負け組のループに入っている人は、環境を変えたり、スキル獲得のための勉強するなどして、意図的に負け組のループから抜け出すことができます。