人は、ランダム性の中に規則性を見出さずにはいられない

人はランダム性の中に規則性を見出したい

 以下は、世界の見方について問う文章です。

① 世界で起こる出来事、身の回りで起こる出来事は、偶然の結果である

② 世界で起こる出来事、身の回りで起こる出来事は、何らかの原因があって起こったものであり、偶然の結果などではない

 あなたは、世界の見方について、①、②のどちら派ですか?

 ほとんどの人が、②の『世界で起こる出来事、身の回りで起こる出来事は、偶然の結果などではない。何らかの原因があって起こった。』と考えると思います。

 たとえば、

  • 豪雨などの異常気象は、地球温暖化が原因だ
  • 金を稼げなくて、社会の負け組になってしまったのは、子供の頃に勉強が得意じゃなかったことが原因だ

といった具合に、今ある結果に対して、自問自答をし、何らかの原因や因果関係を見出そうとします。

 これは、人が、原因追求思考が大好きなためです。

 もしかしたら、実は、世界で起こる出来事、身の回りで起こる出来事は、ランダムに起こっている出来事の方が多いのかもしれません。

 少なくとも、ランダムに起こっている出来事は確実に存在します。

 にもかかわらず、人は、ランダムに起こる出来事に対しても、原因や因果関係を探し、パターンを抽出して規則性を見出そうとします。

 そのため、ほとんどの人が、ランダムに起こる出来事に対し、「もしかすると本当はランダムなのかもしれない」という考えを発想できません。

ランダムなプロセスから規則性が生まれる

 人は、パターンを探そうとする心理傾向があり、世界には、規則性があると信じています。

 それゆえに、原因追求思考が大好きな人は、ランダムなプロセスから規則性が生まれることを理解していません。

赤ちゃんの出生例

 たとえば、ある病院で、赤ちゃんが以下のような順序で生まれたとします。

   女女女女女男

 この結果を見た後に、男の子と女の子が生まれる可能性は等しいでしょうか?と聞かれたら、直感的に、「等しくない」「女の子が生まれる可能性の方が高い」と考えてしまいます。

 そして、その答えは間違っています。

 出生に関しては、どの事象も互いに独立して起きるのだから、男の子が生まれる可能性と女の子が生まれる可能性は等しいのが事実です。

 男の子と女の子が生まれる順序は、明らかにランダムです。

   女女女女女男

となったのは、ランダム性の中において、たまたま ばらつきが多いところが、表立って現れただけす。

 にもかかわらず、「女の子が生まれる可能性の方が高いのでは?」と考えてしまったのは、ランダムの中に生じた単にばらつきの大きい部分を見て、女の子が生まれやすいという規則性があると錯覚してしまったからです。

 『本当は、ランダムに起こった出来事なのだが、標本抽出の偏りにより、規則性が見て取れることがある』という前提の理解がないため、規則性があると錯覚してしまうのです。

なぜ人は規則性を見出そうとするのか?

 なぜ人は、ランダム性の中から規則性を見出そうとするのでしょうか?

 それは、規則性を見つけることが、進化の過程で有利だったためです。

 例えば、

  • 日が沈んでから狩りに出ると、猛獣に襲われる可能性が高くなる
  • 空が曇って、空気がじめじめしてきたら、天気が荒れる、場合によっては災害になる

といったように、規則性を見つけることで、危険を回避できる可能性が高くなり、生存率が高まります。

 人は、 ‶ 規則性探し ″ を、警戒行動の一つとして、祖先から受け継いできました。

 原因を追究し、規則性を見つけることは、生存可能性を高めるために有益な行動なので、人は規則性を追い求めるのです。

人は、人生で遭遇する出来事が、ランダムであると認めたくない

 人は、ランダム性の中から、規則性を見出さずにはいられない本能があります。

 そのため、人生で遭遇するある程度の出来事は、ランダムであるという事実を認めたくありません。

 そうなると、出来事から見出した規則性が、ただの目の迷いであり、認知的錯誤であるとことに気づきません。

 世界や身の回りで起こる出来事の多くは、ランダム性の中から生まれた様々な因果が折り重なって出来上がった偶然の結果であることが多いです。

 偶然の結果を因果関係で説明しようとすると、的外れとなり、必ず間違うことは覚えておく必要があります。

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