コミュニケーション

【雑談力②】雑談は会話のラリーを続けるもの ~雑談を続けるためのスキル・方法(フォローアップクエスチョンなど)~

雑談は会話のラリーを続けるもの

 雑談の量は、人間関係の親密度の高さに比例します。

 なので、好意的に思う人と親密になりたければ、雑談は必須です。

 そして、親密度が高まる雑談ができたといえるためには、雑談が

会話のラリー

になっている必要があります。

 会話のラリーにならない雑談は、親密度の上昇はあまり期待できません。

悪い雑談の例

 たとえば、雑談の内容が、

  • 自分「今日はいい天気ですね」
  • 相手「そうですね」

   以上終了

となってしまっては、会話のラリーになっておらず、相手との親密度は上がりません。

良い雑談の例

 たとえば、雑談の内容が、

  • 自分「今日はいい天気ですね」
  • 相手「そうですね」
  • 自分「天気がいいとセロトニンという脳内物質がでて、雨の日よりもやる気がでるらしいですよ」
  • 相手「確かに今日は調子いい気がします」
  • 自分「私も今日は調子いい気がするんですよね」

といった感じで会話のラリーがある雑談は良い雑談です。

 人は、自分の話をする(自己開示する)と相手との心理的距離感が縮まります。

 なので、お互いが自分自身の考えや気持ちなどを話し、会話のラリーが続く雑談内容になると、2人の親密度が高まる良い雑談になります。

ラリーする雑談の内容は何でもいい

 ラリーする雑談の内容は、特別おもしろかったり、盛り上がるものである必要はありません。

 そもそも雑談の目的は、人間関係の構築にあります。

 雑談を通じて、お互いの警戒心や緊張を解き、お互いが気持ちを落ちつかせてつき合える人間関係に移行するのが、最初に達成すべき目的です。

 なので、雑談内容は、当たり障りのないものでよいのです。

 むしろ、当たり障りのない雑談内容にした方が、

  • 雑談にするネタの幅が広がり、雑談をもちかけやすくなる
  • 相手とほどよい距離感を保つことができ、会話の事故が起こりにくく、安定する

などの利点があります。

 もっと強い言葉で言うと、

雑談の内容はどうでもいい

のです。

 雑談をして、ある程度のラリーがある会話ができればそれでいいのです。

 雑談は、

  • 相手の警戒心を解く
  • 円滑な人間関係を作る
  • 相手との親密度を高める

などの目的が達成できればそれでいいのです。

 雑談は、天気・出身地・最近のニュースなど、ありふれた話題から入っていき、会話を膨らませていく方が、雑談内容が自然になって良いです。

雑談のラリーを続けるためのスキル7選

 日常生活において、雑談をしたくても、雑談ネタが思い浮かばず、話しかけられないという場面は多いです。

 そんなときに、雑談ネタを生み出し、相手に話しかけ、雑談のラリーを続けやすくするための考え方を6つ紹介します。 

① 自分の気持ちを伝え、相手の気持ちを聴く

 「気持ち」を雑談の内容に組み入れると、雑談ネタが浮かんでこなくてラリーが続かないという状況を少なくできます。

  • どんな気持ちか
  • どう思うか
  • どんな感想をもつか

などの気持ちを雑談ネタの軸にすれば、何かしらの会話ができます。

 たとえば、

  • 自分「今日は出社時間が早くてすごいですね(感想)」
  • 相手「今日は朝からやる仕事が多くて早く出社したんですよ」
  • 自分「朝早いのは大変じゃないですか(気持ちを聞く)」
  • 相手「朝は苦手じゃないんですよ(気持ちを話す)」

という感じです。

 気持ち・感想・どう考えるかなどは、自分自身の内側から生み出されるものなので、ネタに窮して言葉が出てこないということが少ないです。

 雑談ネタに困ったら、「気持ち」にフォーカスしてネタを考えてみることが有効です。

 ちなみに、気持ちを伝え、気持ちを聴くというコミュニケーションは、親密度が高まりやすい優れた手法になります。

 気持や感情を伝え合うのは、仲良くなりやすいコミュニケーションの手段です。

 気持ちや感情を伝え合うと、良い関係ができやすくなります。

 良い雑談は、

情報ではなく、気持ちをやり取りする雑談

と考えておくとよいです。

② 自分の体験を話す

 自分の体験であれば、その体験が五感を使って脳に記憶されているため、雑談ネタを作りやすいです。

 たとえば、

「そういえば、この前〇〇なことがあって…」

など雑談の中に自分の体験した話を組み込むことで、話を広げやすくなり、雑談のラリーを続ける助けになります。

 しかも、自分の体験であれば、その時の自分も気持ちも会話の内容に乗せやすいという利点があります。

体験談+自分の気持ち

のコンボは有効打です。

 たとえば、

  • 自分「昨日、マスクして長時間ウォーキングしたら、鼻より上だけ日焼けしちゃったよ(体験)。カッコ悪くて恥ずかしいよ(気持ち)。」
  • 相手「この時期、日焼け止めクリーム必須だね(感想)」
  • 自分「ほんとそのとおりだよ(感想)。〇さんは日焼け止めクリーム塗って対策してるの?」

といった感じて、「体験談+自分の気持ち」のコンボは、雑談のラリーを続けるための有用な選択肢の一つになります。

③ 「+ひと言」する

 あいさつ、お礼、リアクション、あいづちなど、簡単なフレーズにプラスのひと言を加えるようにすると、会話の幅が広がり、雑談のラリーを続けやすくなります。

 たとえば、

  • 自分「おはようございます+今日はいい天気ですね。」
  • 相手「最近は晴れが続いていいですよね。」

とか

  • 自分「ありがとうございます。+今日はいつもより調子が良かったんです。」
  • 相手「確かにいい仕事してましたもんね。」

とか

  • 自分「おお~、それはすごいですね。+何か特別にやっていることでもあるんですか?」
  • 相手「特別ってほどではないですけど、私、毎日〇〇してまして…」

といった感じです。

 「+ひと言」で話を膨らませたり、伸ばすことで、相手が会話の返しをしやすい余地を意図的に作ります。

 これにより、雑談のラリーを続けやすくします。

④ フォローアップクエスチョンのチャンスを逃さない

 フォローアップクエスチョンとは、

相手が発した言葉を拾って質問をなげかける

というコミュニケーションスキルです。

 たとえば、

  • 相手「はぁ…(溜息)。なんか今日疲れたなぁ~」
  • 自分「溜息ついて疲れたなんて、何かあったんですか?」
  • 相手「実は今日〇〇なことがありまして…」

といった感じて、相手の言動を拾って雑談のラリーにもっていくのです。

 雑談の中で、相手が発する言葉というのは、相手にとって興味・関心がある言葉です。

 その言葉を拾って、質問して、広げていくことで、雑談のラリーを続けやすくします。

 

 たまに相手が、さっき言った言葉をもう一度繰り返して言うことがあります。

 それは確実にフォローアップクエスチョンのチャンスです。

 むしろ、そこでフォローアップクエスチョンをしなかったら相手に対して失礼です。

 2回同じことを言うのは、「ここ、つっ込んで聞いてほしい」という相手の気持ちの表れです。

 『フォローアップクエスチョンのチャンスは逃さない』という心構えをもって雑談に臨みましょう。

⑤ 自己開示ネタを話す

 自己開示ネタを話すことは、相手の心を開きやすい雑談スキルです。

 たとえば、

「私、緊張したり、不安になりやすい性格なんですよ」

といった感じで、自分はどういう人間なのかをネタにして相手に伝える手法は有効な雑談スキルになります。

 自己開示をすると、相手に自分がどんな人間なのかを知ってもらうことができ、相手との心理的距離を縮めることができます。

 自己開示の内容は、

自分の弱みを開示する内容

にした方が、相手に親近感や安心感を与え、共感をしてもらいやすいため、相手に刺さります。

 これに対し、自己開示といえども、

  • 自慢話
  • 相手が引いてしまうような話
  • 内容が深刻で深すぎる話

は、相手に不快感や警戒心を抱かせ、共感もしてもらえず、心の距離が開いてしまう可能性が高いため、避けた方が無難です。

 自己開示の内容は、軽くてほどよい方が、相手は聞いていて楽しくなり、会話を拾ってもらいやすくなるので、雑談のラリーが続きやすくなります。

⑥ 失敗談を話す

 失敗談を話すと、一気に相手との距離を詰めることができ、雑談のラリーを続けやすくなります。

 たとえば、

  • 自分「テスト前にダメと分かっていながらYouTube見ちゃって、今日のテストぼろぼろだった」
  • 相手「私もテスト前についついマンガ読んじゃうことあるわ~」
  • 自分「切羽つまったときに、全然別のことやってしまうことあるど、あれ何なんだろうね」

といった感じで、自分の失敗談を話すことは、共感や笑いがとれて、話を盛り上がげやすいので、雑談のラリーを続けやすくなります。

 ただし、失敗談は軽くて笑える内容がよいです。

 「この人大丈夫か?」などと思われて、相手が引いてしまうような失敗談は、会話の流れをせき止めるのでNGです。

⑦ 自分たちに近い話をする

 自分たちに直接関係がない遠い話は、話が尽きやすく、盛り上がりにくいです。

 逆に、仕事や相手と共通の活動など、自分たちに近い話なら、話のネタが作りやすく、かつ、話も続けやすいです。

 まずは、

自分たちに近い話は何か

を考えてみて、そこから雑談ネタを作るのも有効な選択肢です。

まとめ

 雑談は、相手との親密度を高めたり、良い人間関係を構築するために行うものです。

 親密度を高めたり、良い人間関係の構築に寄与する雑談は、会話のラリーのある雑談です。

 話を一方的にして終わるなど、会話のラリーのない雑談は、親密度を高めたり、良い人間関係の構築に寄与しません。

 雑談を効果のあるものにするには、雑談のラリーを続ける必要があります。

 雑談のラリーを続けるためのスキルとして、

  1. 自分の気持ちを伝え、相手の気持ちを聴く
  2. 自分の体験を話す
  3. 「+ひと言」する
  4. フォローアップクエスチョンのチャンスを逃さない
  5. 自己開示ネタを話す
  6. 失敗談を話す
  7. 自分たちに近い話をする

の7つを紹介しました。

 これらのスキルをいろいろ組み合わせて使うと、さらに効果的です。

 「雑談のネタが思い浮かばない…」というときは、これら7つのスキルを起点にして雑談のネタをひねり出すとよいです。

【余談1】雑談はほどよいところで切り上げる

 雑談は、ほどよいところで切り上げることが大切です。

 雑談のラリーが続くのは良い事なのですが、雑談の切り上げどころが分からなくなって、いたずらに雑談が長くなると、お互いにしんどくなります。

 雑談のラリーは3~4回続けるだけでも十分です。

 長くて濃密な雑談のラリーを1回してネタ切れになって後が続かなくなるより、短い雑談を日を変えて何度もする方が、人間関係の親密度は高まります。

(ちなみに、この効果を「単純接触効果」といいます)

【余談2】雑談をせずに逃げることも大切

 雑談が盛り上がらない人、脈なしの人などに対しては、無理に雑談をして、人間関係の親密度を上げにいかなくてもよいです。

  • 人と接するのがあまり好きではない
  • 一人でいることの方が好き
  • 過去にいじめやパワハラを受けたことがあって、人間が嫌い
  • ほかやるべきことがあって、人間関係の構築にあまり興味がない

など、人付き合いに対する考え方や置かれている環境は人それぞれです。

 子供の頃は、先生や親から「みんなと仲良くしよう!みんな友達!」という教えを受けたと思いますが、大人になると誰とでも仲良くする必要はありまん。

 家族やビジネスパートナーなど、人間関係の親密度を上げるべき相手は絞られるからです。

 マウントをとってくる人や、精神性に問題がある人など、付き合うと人間関係に問題を抱えて、苦しみを与えられる邪悪性をもった人たちもいるので、そのような人たちからは全力で距離をおく必要もあります。

 合わない人や脈なしの人にこだわるより、コミュ力が高かったり、脈ありの人と多く雑談をして親密度を上げた方が、良い人間関係を作ることができます。

雑談力の記事一覧

【雑談力①】雑談の量と人間関係の親密さは比例する ~雑談ネタが思い浮かばないときにやるべきこと~

【雑談力②】雑談は会話のラリーを続けるもの ~雑談を続けるためのスキル・方法(フォローアップクエスチョンなど)~

【雑談力③】雑談のリアクションテクニック・スキル6選 ~「よね」で共感、単語リピート、腕組をしないなど~

【雑談力④】「クローズドクエスチョン」・「オープンクエスチョン」とは? ~はい、いいえで答えられる質問はNG~

【雑談力⑤】雑談において「なぜ?」はNG ~質問攻めは会話が止まる~

【雑談力⑥】雑談において見た目が悪いは損失 ~第一印象、初頭効果を解説~

【雑談力⑦】「返報性の法則」を利用した雑談

【雑談力⑧】通る声を出す方法 ~あごを上げる、声をワントーン上げる~