強制性交等罪の故意
強制性交等罪(刑法177条)などの故意犯については、犯罪を犯す意思(故意)がなければ、犯罪は成立しません(詳しくは前の記事参照)。
この記事では、強制性交等罪の故意について説明します。
強制性交等罪の故意について、裁判で争点となりやすい観点として、
- 被害者の年齢の認識
- 被害者の性交に対する承諾の誤信
が挙げられます。
① 被害者の年齢の認識
強制性交等罪(刑法177条)の前段については、被害者の年齢が13歳以上であることの認識を必要としません。
しかし、後段については、被害者が13歳未満であることの認識が必要となります。
この点について判示した以下の判例があります。
大審院判決(大正14年4月23日)
裁判官は、
と判示しました。
なお、この点については、強制わいせつ罪の考え方と同じです(詳しくは前の記事参照)。
② 被害者の性交に対する承諾の誤信
犯人が、性交することに対し、被害者の真意に基づく承諾があったと誤信したときは、故意を欠くことになり、強制性交等罪は成立しないことになります。
強制性交等罪は、被害者に対し、反抗を著しく困難にするか、あるいはそれ以上の暴行・脅迫がなされた場合に成立するものです。
なので、そのような状況があるにもかかわらず、犯人が「被害者の真意に基づく承諾があったと誤信した」と主張し、その主張が認められる場合があるとしれば、よほど特別な事情が存在する場合と考えられます。