認知容易性とは?
認知容易性とは、文章、言葉、スピーチ、図形、表などの表現物の認知のしやすさのことです。
認知容易性の恐ろしい機能は、表現物の認知容易性が高いだけで、脳がその表現物を正しいと錯覚することにあります。
認知容易性が高いだけで、正しいと錯覚する
認知容易性が高い文章は、それだけで正しいと受け止められます。
逆に、認知容易性が低い文章は、内容が正しかったとしても、正しさに疑念をもたれます。
次の二つの文章を比べたときに、どちらが正しいと思いますか。
織田信長は、1532年3月16日に生まれた。
織田信長は1536年3月21日に生まれた。
答えは、どちらも間違いですが、同種の実験によると、最初の文章の方が、直感的に正しいと受け取られることが分かっています。
脳は、認知容易性が高い文章を「正しい文書だ」と直感し、錯覚してしまうのです。
ちなみに、織田信長は、1534年6月23日生まれです。
認知容易性が高い文章とは?
- 大きく鮮明に印刷された文章
- 繰り返し出てくる文章
- 過去に見たことがある文章
は認知容易性が高い文章です。
「見やすい、繰り返される、過去に見たことがある」という要素を備えている文章に対しては、脳が情報を、負荷なく、スムーズに処理することができるからです。
文章に限らず、脳が認知しやすいように設計され、あらかじめ仕掛け(過去に見せているなど)がされている表現物は、認知容易性が高いです。
認知容易性が人に与える影響
認知が容易なとき、人は、
・気分が良くなり
・慣れ親しんだ心地良さを感じ
・直感を信用して、見聞きしていることをもっともだ
と思います。
認知容易性が高い表現物は、それだけで正しいと受け止められるのです。
脳は、面倒なことを考えたがらず、楽をしたがる臓器です。
そのため、認知容易性の高い表現物を見たとき、脳は、なまけ心を発動させ、深く考えようとしません。
そんなとき、脳は、その表現物に対し、瞬時に正しいという判定をくだして、思考のショートカットを行います。
逆に、認知容易性が低い表現物は、内容が正しかったとしても、その正しさに疑念をもたれます。
脳は、認知容易性の低い表現物を見たとき、「げっ、読み込みがしんどいなぁ」という感想をもち、認知負担を感じます。
脳は、認知負担を感じるときに、慎重で疑り深くなります。
ふだんより多くのエネルギーを使い、不快な感情とともに、表現物を読み込んでいくので、その表現物に対し、ネガティブな判断をしやすくなります。
認知容易性の扱いは、ビジネスにおける必須スキル
仕事において、認知容易性の低い書類を上司に提出しようものなら、上司は、不快な感情とともに、疑い深く書類を見るため、正しい内容だとしても、無用なダメ出しをくらいやすくなります。
お客様に対し、認知容易性の低いパンフレットを見せようものなら、サービス内容が良いものだとしても、それだけでお客様をひかせてしまいます。
反対に、認知容易性が高ければ、上司に提出した書類はすんなり認められ、お客様に見せたパンフレットは肯定的に見てもらいやすくなります。
ビジネスにおいて、認知容易性が高い表現物を作成できるスキルは必須です。
認知容易性の高さを意識して、表現物は作成しなければなりません。