刑事訴訟法(公判)

裁判を始めるまでの準備手続② ~「公判期日の指定」「被告人を裁判に召喚する手続」を説明

 前回の記事の続きです。

 公判準備(裁判が始めるまでの手続)は、

  1. 被告人への起訴状謄本の送達
  2. 被告人への弁護人選任権の告知
  3. 公判期日の指定
  4. 被告人を裁判に召喚する手続
  5. 訴訟関係人(検察官、被告人・弁護人、裁判官)の事前準備

に分けられるところ、前回の記事では、「① 被告人への起訴状謄本の送達」「② 被告人への弁護人選任権の告知」を説明しました。

 今回の記事では、「③ 公判期日の指定」と「④ 被告人を裁判に召喚する手続」を説明します。

公判期日の指定

 公判期日とは、裁判を行う日のことをいいます。

 公判期日は、裁判長が指定します(刑訴法273条1項)。

 公判期日の指定は、裁判長の合理的な裁量により行うことができます。

 公判期日の指定は、訴訟関係人(検察官、被告人・弁護人)の意見を聴く必要はありません。

 ただし、第1回の公判期日の指定するに当たっては、その期日前に訴訟関係人がなすべき訴訟の準備を考慮し、公判期日を指定しなければなりません(刑訴法規則178条の4)。

 裁判長が指定した公判期日は、

という方法で検察官、被告人・弁護人に知らされます。

公判期日の変更

 裁判所は、検察官、被告人・弁護人の請求により、又は職権で裁判長が指定した公判期日を変更することができます(刑訴法276条1項)。

 公判期日の指定は、裁判長が行いますが、公判期日の変更は、裁判所が行う点に違いがあります。

公判期日はみだりに変更できない

 憲法37条1項は、被告人に迅速な裁判を受ける権利を保障しており(詳しは前の記事参照)、公判期日がみだりに変更されると裁判の遅延につながるので、法は、公判期日の変更について厳しく規制しています。

 具体的には、

  • 裁判所は、やむを得ないと認める場合のほかは、公判期日の変更ができない(刑訴法規則182条1項)
  • 公判期日を変更するには、急速を要する場合を除いて、検察官及び被告人又は弁護人の意見を聴かなければならない(刑訴法276条2項刑訴法規則180条)
  • 急速を要する場合には、公判期日を変更するに当たり意見を聴く必要はないが、変更後の公判期日において、異議申立ての機会を与えなければならない(刑訴法276条3項
  • 裁判所が権限を濫用して公判期日を変更したときは、訴訟関係人は、監督裁判所に対して不服申立てができる(刑訴法277条刑訴法規則182条2項)
  • 訴訟関係人から公判期日の変更を請求する場合には、変更を要とする事由等を具体的に明らかにした上、診断書等の資料でこれを疎明しなければならない刑訴法規則179条の4第1項)

といったことが法で定められています。

被告人を裁判に召喚する手続

 公判期日が定まると、被告人を裁判に呼びだす手続(召喚手続)がとられます(刑訴法273条2項)。

 召喚は、召喚状を送達して行われます(刑訴法62条63条65条)。

 ただし、被告人が裁判所の構内にいるときは、被告人に対して公判期日を通知することによって召喚状の送達に代えることができます(刑訴法274条)。

 第1回公判期日の被告人の召喚については、被告人の防御に不利益を与えないため、以下の①、②のルールがあります。

  1. 第1回公判期日の召喚状の送達は、起訴状の謄本を被告人に送達する前にしてはいけない(刑訴法規則179条1項)
  2. 第1回公判期日と召喚状の送達との間には、原則として、5日以上(簡易裁判所での裁判の場合は3日)の猶予期間が必要であること(刑訴法275条刑訴法規則179条2項)

 ただし、被告人に異議がないときは、猶予期間を置かないことができます(刑訴法規則179条3項)。

 被告人の防御に不利益にならなければよいので、起訴状謄本の送達前に召喚状が送達されても、被告人の防御に実質的な不利益を生ずるおそれがないときは、その違法は判決に影響を及ぼしません(最高裁決定 昭和33年9月12日)。

被告人が公判期日に裁判所に出頭できない場合は、その理由を記載した資料を裁判所に提出しなければならない

 召喚を受けた被告人が、病気その他の事由によって公判期日に出頭することができないときは、

  • 出頭できない理由を記載した書面
  • 出頭できない理由を明らかにすべき医師の診断書その他の資料

の両方を裁判所に提出しなければなりません(刑訴法278条刑訴法規則183条1項)。

 この場合の診断書は、通常の診断書ではなく、

  • 病名及び病状のほか、その精神又は身体の病状において、公判期日に出頭することができるかどうか、自ら又は弁護人と協力して適当に防御権を行使することができるかどうか及び出頭し又は審理を受けることにより生命又は健康状態に著しい危険を招くかどうかの点に関する医師の具体的な意見が記載されていなければならない

とされます(刑訴法規則183条3項)。

 そして、裁判所は、この方式に違反した診断書は受理してはなりません(刑訴法規則184条1項)。

 また、診断書の方式に違反はなくても、その内容が疑わしいと認めるときは、診断書を作成した医師を召喚して尋問するなど、適当な措置を講じなければなりません(刑訴法規則184条2項)。

次回の記事に続く

 公判準備は、

  1. 被告人への起訴状謄本の送達
  2. 被告人への弁護人選任権の告知
  3. 公判期日の指定
  4. 被告人を裁判に召喚する手続
  5. 訴訟関係人(検察官、被告人・弁護人、裁判官)の事前準備

に分けられるところ、次回の記事では、「⑤ 訴訟関係人(検察官、被告人・弁護人、裁判官)の事前準備」を説明します。

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