刑事訴訟法(公判)

公判の流れ①~「公判手続の進行順序(冒頭手続→証拠調べ手続 →弁論手続→判決宣告)」を説明

公判手続とは?

 検察官が事件を起訴(公訴提起)するところから、裁判確定に至るまでの一連の訴訟手続の全体を

公判手続

といいます(公判手続の詳しい説明は前の記事参照)。

 公判手続は、

  1. 裁判所
  2. 検察官
  3. 被告人、被告人の弁護人

の三主体によって進められます。

 公判手続は、「冒頭手続」→「証拠調べ手続」 →「弁論手続」→「判決宣告」の順序で行われます。

 これらの手続は、「公判廷」で行われます(刑訴法282条1項)。

刑訴法282条1項は、「公判期日における取調は、公判廷でこれを行う」と規定しますが、この「取調」は、証拠の取調べのみでなく、公判期日における手続の一切を指します。

 「公判」とは「公開審判」の略語です。

 「公判廷」とは、「公開の法廷」の意味です。

 公判(公開審判)は、その名の通り、公開主義(裁判公開の原則ともいう)が採られており、子どもでも、大人でも、誰でも、審理が行われている「法廷」の傍聴席に座り、実際に行われている公判を傍聴できるルールになっています。

 「法廷」とは、「裁判を行う場所」の意味です。

 法廷は、裁判所の建物内に、法廷用の部屋が設備として用意されています(裁判所法69条1項)。

 ただし、最高裁判所は、必要と認めるときは、他の場所で法廷を開き、又は、その指定する「他の場所」で下級裁判所に法廷を開かせることができます(裁判所法69条2項)。

 「他の場所」について、判例において、裁判所内の判事の事務室が公判廷となり得ると判示した以下の判例があります。

最高裁判決(昭和23年7月29日)

 裁判官は、

  • 刑事訴訟法第329条第1項(現行法:刑訴法282条1項)にいう公判廷とは、同条第2項所定の者(※裁判官、裁判所書記、検察官)が全部列席して開かれた審判廷をいうのである
  • 故に、たとえ判事の事務室で開かれたとしても、右第2項所定の人員が全て列席して開かれた以上、それが即ち公判廷なのである

と判示しました。

公判手続の進行順序

 公判手続は、「冒頭手続」→「証拠調べ手続」 →「弁論手続」→「判決宣告」の順序で行われます。

 その流れは以下のとおりです。

公判準備

① 検察官が事件を起訴する(公判請求する)(刑訴法256条

② 裁判所が検察官が起訴した事件を受理する

③ 裁判所が第1回目の公判期日を指定する(刑訴法273条274条275条276条

④ 第1回目の公判が開かれる

冒頭手続

⑤ 裁判官が、被告人に対し、人定質問(被告人の氏名、生年月日、住所などの確認)を行う(刑訴法規則196条)

⑥ 検察官が起訴状を朗読する(刑訴法291条1項

⑦ 裁判官が、被告人に対し、黙秘権の告知を行う(刑訴法291条4項前段刑訴法規則197条)

⑧ 裁判官が、被告人に対し、起訴事実に対する認否(起訴事実を認めるか、認めないか)を確認する(刑訴法291条4項後段

証拠調べ手続

⑨ 検察官が冒頭陳述(証拠により証明する事実が何のかを説明する)を行う(刑訴法296条

 必要に応じて、被告人・弁護人も冒頭陳述(証拠により証明する事実、その他の事実上及び法律上の主張を行う)を行う(刑訴法316条の30刑訴法規則198条)

※ 通常の裁判では、被告人・弁護人の冒頭陳述は行われることは稀です。

公判前整理手続に付された事件では、被告人・弁護人の冒頭陳述が行われるのが通常です。

⑩ 検察官が、裁判官に対し、証拠調べ請求(検察官が起訴事実を証明する証拠を裁判官に提出することを求めること)を行う(刑訴法298条1項刑訴法規則189条)

⑪ 裁判官が、被告人・弁護人に対し、検察官が前記の提出を求めた証拠についての意見(証拠として採用されることに異議があるか、ないか)を求める(刑訴法326条刑訴法規則190条2項)

⑫ 裁判官が、検察官が証拠調べ請求した証拠について、証拠として採用するのか、採用しないのかを決定する(これを証拠決定という)(刑訴法規則190条1項)

⑬ 裁判官が検察官から提出を受けた証拠の証拠調べ(証拠の確認)を行う

 証拠調べは、

  • 証拠書類(検察官から提出された証拠)を確認する方法(刑訴法305条
  • 証人を法廷に呼び、証人尋問を実施する方法(刑訴法304条
  • 検察官から、証拠書類ではなく、証拠物の提出を受けて確認する方法(刑訴法306条

で行います。

⑭ 検察官は、裁判官に対し、被告人の供述調書の取調べを請求する(刑訴法301条)。

 被告人の供述調書は、その他の証拠の取調べが終わった後、最後に取調べなければならないルールになっています。

 これは、裁判官に被告人の供述を、その他の客観的証拠よりも先に確認させて、偏見を生じさせないようにするためです。

⑮ 被告人・弁護人の立証を行う(上記⑨~⑭と同様の手続で、被告人・弁護人が自身の主張を証明する証拠を裁判官に提出する)

⑯ 裁判官、検察官、弁護人が、被告人に対し、事件のことについて質問する(被告人質問という)(刑訴法311条

弁論手続

⑰ 検察官が、論告求刑を行う(刑訴法293条1項

⑱ 弁護人が、弁論(被告人は反省している、被告人は犯人ではないなどの主張)を行う(刑訴法293条2項

⑲ 被告人が最終に意見を述べる(被告人の最終陳述という)(刑訴法規則211条)

判決宣告

⑳ 裁判官が判決宣告を行う(刑訴法43条1項342条刑訴法規則34条、35条)

 ①~⑲までの手続が終わると、全ての審理が終了したことになります(これを結審といいます)。

 結審すると、裁判官は判決宣告を行います。

次回の記事に続く

 次回の記事では、

公判廷への被告人・弁護人の出頭

を説明します。