脳は「現実第一主義」である
現実に見ているものを視覚処理しているときに、想像上のイメージを視覚処理するのは難しいです。
例えば、スマホでLINEメッセージを打っているときに、スマホでゲームをしているところをイメージするのは難しいです。
現実に見ているものと、想像上のイメージを同時に見るよう脳に求めた場合、脳は、現実に見ているものの方に視覚処理のタスクを集中させます。
脳は、現実の視覚が最優先だと判断するからです。
この現実を最優先する脳の動きを「現実第一主義」といいます。
脳が、現実第一主義でなかったら、生きることに支障が生じます。
たまたま青信号のことを考えていようものなら、本物の赤信号を無視して横断歩道をわたってしまい、車にひかれます。
脳の現実第一主義が、自分の感情に影響を与えている
脳が現実第一主義であることが分かると、自分の感情の動きを説明できるようになります。
「脳は現実第一主義である」という知識は、自分の感情に当てはめて考えたときに、真価を発揮するのです。
未来の出来事を思い浮かべたときに感じる感情は、現実第一主義からくる現在の感情が反映されたものである
イラついているときに、未来で喜んでいる自分を想像するのは困難です。
イラついているときに、未来でもイラつく自分を想像するのは簡単です。
嫌悪感を感じているときに、未来で心地良さを感じている自分を想像するのは困難です。
嫌悪感を感じているときに、未来でも嫌悪感を感じている自分を想像するのは簡単です。
これは、脳が現実第一主義であるためです。
脳は現在の感情をベースにして未来の感情を想像します。
未来を想像したときに感じる感情は、現在の感情を色濃く反映させたものなのです。
たとえば、仕事で失敗して落ち込んでいるときは、次も仕事で失敗してしまうのではないかと不安になります。
これは、仕事で失敗して落ち込んでいる感情が、未来を想像したときの感情に反映されてしまうからです。
今の不安な感情が、脳の現実を最優先にする機能に基づき、未来にも飛ぶため、次も仕事で失敗するのではないかと不安になるのです。
感情も、脳の現実第一主義のルールに則っている動いているところがポイントです。
みんな気づいていない
人は、未来の出来事を思い浮かべたときに感じる感情が、現実第一主義からくる現在の感情が反映されたものであることに気づいていません。
未来を想像した結果として感じる感情が、未来にたどりついたときに抱く感情だと思い込んでいます。
未来を想像した結果として感じる感情は、今の感情をトレースしたものだという自覚がありません。
家族や友人とけんかをした時に、「この先一生許さない」と思ったことがあると思いますが、その感情は、自分が未来にたどり着いたときに感じる感情ではなく、現在起こっていることに対する感情です。
ほとんどの人が、未来を想像したときに感じる感情が、今感じている感情が反映されたものであることに気づいていません。